そうして君は泣いていた
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ごと吐き出すように、耳元で嗚咽が聞こえた。
「っ…死んでなんて、ほしくなかったよ。みんなとやりたい事、いっぱいあったのに。明日はあれで遊ぼう、あの話をしようって、思ってたのに。今度のお菓子は何かなとか、次は何の話をしてくれるかなとか、楽しみな事だって、沢山あったんだ。……そうだよ、悲しいんだ、寂しいんだ。悲しくて寂しくて、涙が、止まらなくて、っ、……」
痛いほど抱きしめられる。その分を返すように、ルーシィも抱きしめる力を強めた。
上手くは言えなかった。これがティアだったら、きっともっと上手く彼を慰められただろう。けれどここにティアはいなくて、彼に言葉を投げかけられるのはルーシィだけで、言える限りで彼の傍に寄り添いたくて。
少しでも、届いたらいい。ほんのちょっとでも、どこかに残ってくれればいい。それだけでも十分だ。
ルーが泣いている。その頭を撫でながらふと視線を動かして―――ルーシィは、見た。
金髪の、女の子。どこか自分に似た、小さな子供。花冠を頭に乗せて、白いワンピースを纏ったその少女は、石碑の土台に腰かけて、こちらを見つめていた。
「あ…」
目が合う。一度だけ見た事のある顔だった。
少女は静かにルーシィの目を見返して、にっこりと笑った。
そして少女は、瞬き一つのうちに消えていた。
夢を、見た。
時間帯的にもう二十八日は終わったはずなのに、珍しい。
「ルー」
あの子の、サヤの声がした。振り返ると、やっぱりあの子がいる。お気に入りの白いワンピース、いつだったかに僕が作った花冠。にっこりと笑って、僕を見上げている。
……そういえば、珍しい。夢の中では僕も子供に戻るはずなのに、今の僕は十九歳のままだった。…ああ、でも、こっちの方がいいかもしれない。
「ねえ、サヤ」
「なあに?」
しゃがみ込んで呼びかけると、サヤが首を傾げる。
「今日ね、泣いたんだ。みんなの事と君の事を思い出したら、悲しくなった」
サヤは何も言わない。ただ黙って、続きを促すみたいにこちらをじっと見つめてくる。
「みんなのところに行ったのも久しぶりでさ……君の夢を見たのが、きっかけだった」
「あたしの?」
「うん。…サヤは覚えてるかな、ずっと一緒にいようって約束したこと」
僕が問うと、サヤは当然でしょって言わんばかりに大きく頷いた。そりゃそうだ。約束を言い出したのはサヤの方だった。これで忘れられてたら、多分僕はべっきり折れて立ち直れなくなる。
「その約束の夢だった。けど僕は、約束を守れなくて、……それで」
言葉に詰まる。言いたい事はあるのに、これ以上は言葉にならなくて。
ぐっと唇を噛みしめる。言わなきゃって思うのに、声
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