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Element Magic Trinity
そうして君は泣いていた
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カがうっかり触れてしまうかもしれない。そうなると彼は凄く落ち込んでしまうから、早くしなければ。
そう、らしくなく愁いている暇なんてないのだ。いつものように、底抜けに明るくなれ。

「待っててアルカー!今行くからねー!」

きっともう起きているアルカに向けて、目覚ましの音に負けない大声で叫んだ。









「ルーシィ―――――!」
「ちょっ」

名前を呼ばれた、というか叫ばれた、と思って振り返る間もなく飛びつかれる。周囲からは「いつもの事か」とか「朝っぱらからお熱いねえ」とか、そんな感想が向けられるが、ルーにとっては知った事ではないらしい。
背後から襲撃してきた彼は、そのまま腹の辺りに腕を回してぎゅっと抱きしめてくる。向かいの彼女がぴくりと眉を上げたが、気にした様子はない。

「おはようっ、今日も大好きー!」
「そ、そう……おはよう、ルー」
「うんっ」

頬に熱が集中する。背後から包み込むように抱きしめられているのが原因か、それとも剥き出しの肩に顎を乗せた上で、しかも耳元で喋っている事か。多分どっちもだろう。
挨拶を済ませたルーはするりと腕を解いて、当たり前のように隣に座る。通りがかったウエイトレスにアイスココアを注文して、渋い顔をした向かいに声をかけた。

「珍しいね、ティアがルーシィと相席してるなんて。何かあったの?」
「…今の今まで何とも思ってなかったけど、真正面でそれやられると鬱陶しいわ」

質問の答えになっていない。かといってそれをティアに言うのは気が引けるのか、じっとこちらに目を向けた。こういったところでティアが説明を面倒くさがるのはいつもの事なので、代わりに答える。
 
「さっきまで読んでた本に、ちょっと古い文字があったの。レビィちゃんに聞こうかとも思ったんだけど仕事でいなくて、サルディアはまだギルドに来てなかったから」
「ああ、ティアって古代文字とか読めるもんね!」
「別に古代っていうほど古くもないわよ、ただ今じゃ使われる機会が少ないってだけ」

自分で調べれば、と突き返される事覚悟で頼んだら、意外すぎるほどあっさりと了承してくれたのには驚いた。何か裏が、と(失礼ながら)思ったりもしたが、それを問えば返って来たのは「暇潰しよ」との一言だったので、頼んだタイミングがよかったのだろう。
そのお礼にとルーシィが(「人に飲み物奢ってる場合なの?今月も家賃払えるか危ういって聞いたけど」とティアに言われながら)奢ったベリーのジュースの残りをストローで吸いきって、気だるげな青い瞳が一点を見つめる。心底面倒そうに溜息を吐いて、苛ついた様子でキレのいい舌打ちを一つ。

「そんな事より、アイツ等いつまでモメてる訳?仕事一つ決めるのにすらこんなに時間食うってどういう事よ」
「あ
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