第78話 恐感覚
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「オレはまだそちらに行けない......やる事がある」
あの時とは違う答えを出そう
死に逝く者が生者を思うのはおかしいのではなく死んだ者こそ生者を思う者
「そう......だよね」
背後に居る母親の声がしゃがれた声になり身体に蛇が巻き付いてサソリを威嚇し始めた。
「やる事あるんですよね。サソリ様」
「!?そ、その声は!」
「僕ですよ......僕。勝手に死んで貰っては困りますからね。役に立って貰わないと」
「か、カブト......」
眼鏡を掛けた根暗の男が印を結ぶとサソリの身体は塵となり歪んだ穴に渦を巻くように消えてしまう。
いつの世に安寧はなく
人々の諍いや争い、欲望や正義を振りかざして戦いを余儀なくされる
呪われた運命は容易くは断ち切れず、周りの大切な物を巻き込んで最悪の結末まで誘う
抗うは身を滅ぼし
保身は周りを滅ぼす
もはや後戻りできない時間だ
******
暗散たる慟哭のような雷鳴を切り裂き、大地に深く突き刺さる常闇のチャクラを有し全ての秩序を破壊する神ならざるモノがとある建物上空から見下していた。
音も無く切り上がるビルよりも高く焔のようなチャクラが一層悍ましさを強く彩り重ねる。
「......」
顔を覆う程の長い黒髪を振り上げたマダラが身体半分を黒く染められている状態で腕を組んだまま指先を動かし身体の状態を確かめる。
「よっす〜。無事マダラの身体が手に入ったみたいっすね〜」
マダラの屈強な身体とは対照的に真っ白な髪に細い身体の最強が飄々とした様子で屋上に設置されているフェンスを乗り越えた。
「トビカ......アイツノ様子ハドウダ?」
「んー、あと少しであれが使われるみたいっすからね〜」
「ソウカ......ナラ暴レルノハソノ後ダナ」
カタコトの不自然な言い回しをしながらマダラは胡座をかいて座り出し、まだまだ完全に乗り移っていないのか黒ゼツのカケラがスライムのようにコンクリート壁に垂れている。
まるで業火に灼かれ爛れた皮膚のようにも見えた。
「オイラ楽しみにしてたんすけどねぇ〜。抹茶の混じったうんこクリームとか」
「彼方デ戦争ガ始マッタカラナ......時流ニ遅レル訳ニハイカン」
「あらら、じゃあ先輩は?」
「無事帰レタダロウナ......死体人形トシテ。モウ此方ニ戻ッテコレナイガナ」
******
研究所の一端にある教室。
表向きは養護施設であるが裏向きは都合の良い実験動物養成所だ。
そこで木山と元教え子が壊れてしまった絆を戻して失った時間を取り戻すように共に過ごしている。
輪廻眼に黒いピアスなどこの2年間で変わってしまう所があるが中身は背伸びをした子供達だと知り嬉しくなる。
自らを低くして子供に近付こうとしていた木山は己の愚かさに心
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