154部分:第十三話 暖かい風その十三
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いいんだな」
「そうだ。私には私の剣がある」
もうそれを悟っていた壬生であった。
「それで貴様を倒す。それだけだ」
「武蔵か」
「そうだ。武蔵のものだ」
「あいつは今どうしてるんだ?」
「さてな」
小次郎のその問いにははっきりしない返事を返した壬生だった。
「姿を消してそれからはだ」
「見ねえってわけか」
「おそらく今は一人で静かに生きている」
妹を失くし傭兵でなくなった彼は。もう闘う理由がないからだ。
「だからだ。もう」
「そうか。ならいいさ」
「貴様もいいのか」
「俺達もな」
小次郎は笑って壬生に告げた。
「戦いが終わればそれでいいんだよ。それでな」
「風だからか」
「そうさ、風さ」
言いながら構えに入る。
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