第三章 X《クロス》
初夜
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うに。
最初こそただの犬だろうと思った彼女だが、どうにも気になってしまい、餌を与えた。
そして、撫で上げた時に見たのだ。その首輪にあるものを。
「これは・・・アンデットの紋章・・・石版にあったものと同じじゃないか!!」
「ええ、その紋章だけは知ってたわ。なにぶん祖母が聞かせてくれた話の本に載ってたから」
柴犬を抱えあげ、一刀が驚愕する。
そのあとから剣崎や海東もそれを見て驚く。
「だったらこの犬はアンデットなのか?」
「わからないわ。でもそのあと私のもとに化け物・・・アンデットだったかしら?が一体だけやってきたときにこの子は立ち向かっていって、そのあとひょっこり帰ってきた。だから多分・・・」
「・・・・それで?あなたはなぜそれをどこかに連絡しなかった?」
と、そこでフィリップからの質問。
当然だろう。それだけのことならば、「EARTH」の管轄になる。
ほかの機関ではとても出ないが扱いきれないだろう。
「これは私たちの一族の問題だと思ったからよ。まさかほかの子たちがこんなに狙われているなんて思わなかったわ」
長岡は言う。
あくまで自分一人でこれは処分する問題だったと。
しかし、彼女の知らないところでどうやらその内容は変わっていたそうだ。
「私が祖母から聞いた話とは違ったわ。化け物どもは邪神を封印しようとする私を狙ってくるかと思ったけど、私を狙ってきたのは最初の一体だけ。それからは音沙汰なし。だから探偵さんと封印に行こうとしたのよ」
「一体なにが・・・」
「それはわからないわ。私は、祖母から話を聞いて、すぐに動き出した。それだけ」
「待ってくれ」
と、そこで長岡の言葉を、剣崎が止めた。
「あんた言ったよな?自分が封印するって。それって、どうやってだ?」
「・・・・私の魂をフォーティーンに捧げ、そして内から抑え込んで封じ込めるのよ。伝承ではそうだったと言い伝えられているし」
「そんな方法で!?」
「私はこれしか知らないもの。それにね、私はこの世界が・・・それなりに好きなの。まとめて滅ぼされるくらいなら、助けたいくらいには、ね」
否にあっさりという長岡。
彼女の考えはなるほど、確かに合理的だ。
巻き添えを出したくないからとどこにも連絡をしなかった。それも正しい。
しかし一人では無理だから最小限ですみ、なおかつ死にそうにない護衛を頼んだ。
おそらく、彼女は決断したのだろう。
抑え込めるのは自分だけ。
だったら被害はそれだけでいい。
だが、それでも長岡の腕は小刻みに震えていた。
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