彼が寝ている隣の部屋で
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体育座りのポーズでしか撮れなかった。
それほど、恥ずかしかったのか、怖かったのか。
でも、けなげだな。
その恥ずかしさに耐えて裸になって、処女を捧げたんだ。
◆
リナさんは暗い部屋でしか抱かれないという。
彼は、恋人の完全な裸体を数えるほどしか、しかも暗いベッドの上でしか、見たことがないという。
明るい場所で見る、初めての裸の女性が、私。友達の彼女。
彼は、興奮しているというより、感動していた。
隣で本来の彼が寝てるけど、あの状態で起きてくることはない(学習ずみ)。だいたい、私のヌードを流出させた張本人ではないか。文句は言わせない。
◆
公平という観点から、体育座りのポーズだけ、撮影を許可した。
ただ、乳房は隠さなかった。
隣の部屋の爆睡野郎に遠慮してか、恐る恐る私のヌードを鑑賞する彼。
あ、そういうの、嫌いじゃない。
私は、彼に歩みより、彼の手を取って、私の胸にあてさせた。
「明るい部屋で、いいよ」
◆
セックスが始まった。
乱暴にしていいよ。リナさんじゃできないこと、していいよ。
おおいかぶさってきた彼に言ったのは、それだけだった。
でも、普通に私を組み敷く体位は変えなかった。
実は、明るい部屋でのセックスは、私も恥ずかしい。
恥ずかしさを上回る快感が押し寄せるから、恥ずかしくなかったと錯覚してしまうのだ。
たとえば、ビキニの水着もレオタードも恥ずかしいのは最初だけで――
「あっ!」
もう、彼が、入ってきた。
まだ濡れかたが足りない。すこし痛い。
「う、うう」
組み敷いて動きを封じた私の中を、じわじわと進む彼。
私におかまいなしの、自分がしたいままの行為だとすれば、十分乱暴かもしれない。
ここで、思い出したように胸に伸びる手。
「あんっ!」
突起をねじられた。もちろん痛い。
でも、これが快感に変わるなら、声が抑えられない……。
「ううう、う、あ、あ、あ、あぁ、だ、だめ、だめ、あ、あ、……」
初めてなのに、合ってしまった裸体のリズム。
◆
最後まで正常位だったが、
男の体重で押さえつけられて苦しい、下手と紙一重のセックスだった。
「ぐっ、うぐっ、う、うう、うう、うぐっ、あん、あんっ」
(もうやめて、やめ……)
その時、唐突に引き抜かれる、それ。
次の瞬間、それは、私の口におさまっていた。
(えっ?!)
口の中にほとばしった。
◆
これも未経験だった。
洗面台で、吐き出した。
顔をそむけて、蛇口をひねった。
裸のまま座り込む私に、彼が近づいてきて、謝った。
全裸のままだったが、彼のどこも見ることができなかった。
◆
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