第45話<頭垂れる山城さん>(改1.2)
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
ずっと特攻に近い作戦しか経験が無かったのだろうか?
そういえば彼女は無線でも『私を顧みず……』とか叫んでいたな。
きっと今までの指揮官は山城さんに「引け」という命令は出さなかったのだろう。彼女自身も長らく自分は特攻専門だと考えていたのだろうか? 可哀想に。
……あれ? 私の後ろの舞鶴が複雑な顔をしている。その表情は少し人間っぽい感情が混じっていた。
今まで私は舞鶴の彼は気難しいだけのロボットみたいな奴かと思っていた。
しかし今日の彼は今までの私が感じていたものとは違った印象を受ける。お互い少しは成長したのだろうか?
私はふと、そんなことを感じていた。
「せっかくですから、このまま外へ参りましょう」
祥高さんが先導して一同はそのまま埠頭へ向かった。
美保湾の海風と潮の香りが心地良い。ポチャポチャと埠頭に打ち寄せる波の音が断続的に聞こえてくる。参謀たちは海軍の男だから動く波を見ると一様に生き返ったような顔をした。
「海は良いですなぁ」
呉が言った。
「向こうに高い山が見えるというのがまた、良いですね」
コレは神戸。確かに大山がよく見える。
舞鶴も改めて「ほぉ」と感心した様子だ。
「ときに」
急に先頭の呉が振り返る。
「先ほどの艦娘、誰です?」
「あ……」
ちょっと不意を突かれた私。
「彼女は戦艦『山城』です。この鎮守府の主軸の一人です」
祥高さんが助けに入った。
「あれが山城ですかぁ」
呉は海を見ながら腕を組んで顎をしゃくっている。
「確か、うちにお姉さんが居たような気がするなあ。扶桑だっけ……」
彼は何を呟いてるのだろうか?
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ