2話
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「荀ケ、貴方、軍師としては正しいのでしょうけど、上に立つものとしては失格ね。自分の策なら兵糧が半分でも大丈夫だなんて。今から出陣する兵の前で宣言しなさい。頭でっかちには現実を知ることから始めましょうか」
「曹操様、この方は?」
「ウチの大賢者よ。故郷の大妖術師に飛ばされてきたそうよ。この国より遥かに発展した技術と広い領土を治めている、ね。彼女はその中でもかなり広い範囲を治める州牧よ。将でも軍師でもなく客人に近いけど、その対価にその知と経験を分けてくれる存在よ。簪、色々と説明してくれるかしら」
「それでは色々教授してあげましょう。まず、自分の首を掛けることですね。自分の首にそれほどの価値があるとお思いで?恥ずかしくないんですかね、戦うのは民です。兵とは言いますが、それも民です。今回、三千の兵士が集まっています。これと貴女の首が等価値?ありえませんね。貴方一人で何が出来ます?軍師とは一人では何も出来ない存在です。従う者がいて初めて動くことの出来る役者です。その軍師が従う者の士気を挫いてどうします。貴方には実績がまるでないと言うのに。実績があればある程度の不満を飲み込んではくれるでしょうが。今、上に立つには曹操の威を借りるしかない。ただ上に立つだけなら問題はなかったですが、兵糧を半分に減らす?不満が爆発しますよ。隠しておいても無駄ですね。普通に気が付きます。いつもより兵糧が少ないと。それが知られれば兵が不安に思いますよ。そもそも、曹操は規定量用意しなさいと命令している。それなのに半分しか用意出来ませんでした。職務怠慢ですね。私なら規定量用意した上で報告書には半分しか用意してませんと書いて提出しますね。そして規定量は用意していますが、私の策ならその程度で十分ですと売り込む。いらないと言われれば、書類一枚書き直すだけ。いると言われれば荷駄隊を半分出すだけ。まあ、私は荷駄隊を全部持っていきますけどね。自分から選択肢を減らすなんてバカな真似はしたくありませんからね。途中の村で施しも一切出来ない、余裕もない。絶対に嫌ですね。はい、反論があればどうぞ。理解が出来ないのであればその首貰ってあげますよ」
「……ありません」
「はい、そういうわけです。ちなみにこの会話は周囲にも聞かれていますので、荀ケに指揮を取らせるというのなら最初に説明を。でなければ士気は保てませんよ」
「分かっているわ。貴方は本当に私とは間逆なのね」
「才あるものを好むのは悪いことではありません。ですが、それにしか目を向けないのは悪です。この世は無い者の方が多いのですから。それらを万全の状態で扱えて初めて上に立つ資格があるといえるでしょう。では、頑張ってきて下さい」
曹操が演説を行い、多少の不満を腹に収めて兵士たちが出陣する。兵糧は半分か。やれやれですね。
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