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巫女のホグワーツ入学記
組み分け? どうでも良い
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 そう言うとドラコは、私の隣に座る。周りのスリザリン生の熱い視線が何だか痛かった。ただそれを向けられているのは私ではなく、隣に座るドラコ・マルフォイというガキなわけだが。
 その後も、組み分けは続いた。ロンは血筋的にもすぐにグリフィンドールに組み分けされた。さぁ、今からハリー・ポッターの組み分けだ。

「ポッター・ハリー」

 マクゴナガルがそう言った途端、大広間はざわめきに包まれた。今何て言った? ハリー・ポッター? 嘘だろ、ハリー・ポッターなんて…ーーそんな台詞が星空の中で飛び交った。緊張して固まりながら歩くハリーを見て、ドラコは鼻で笑った。

「あれが英雄様かい? 『生き残った男の子』も、大した事はないな」
「確かに彼は、かなりオドオドした様子ね」

 ハリーは帽子をかぶると、目を瞑って組み分けを待った。まだだ、まだ組み分け帽子は寮の名を言わない。やがて、「グリフィンドール!」と叫んだ。
 その後、宴会が始まった。ホグワーツの食事はウィーズリー家のよりも豪奢だったが、やはり母の味というものには敵わない。
 スリザリンの人間は私の家の仕事にとても興味を持ったようで、詳しく聞いてきた。

「じゃあ霊夢は『巫女』っていう奴なんだな」
「そうよ、だから魔法界とは接点は持っていなかったの」
「お母さん、残念だったわね…」
「別に良いのよ。今も幸せだし、学校にも来れたしね。もしまだ結界を維持し続けなければならなかったら、私はずっと社にいたわ」

 正直、両親の事なんて知らない。気が付いたら博麗神社で巫女をやっていて、「異変」を解決して、魔理沙とお茶を飲んで…そんな日々を繰り返す毎日だった。自分の出生に興味はないので、特に調べもしなかったが。

「じゃあ霊夢は純血なんだね」
「そうね。純血とは限らないけど…代々巫女をやっているから」

 両親や先代の巫女の事なんて私は知らないから、今は嘘をつくしかない。それ以外にどうしろというのだ。

「ねぇねぇ、博麗の巫女にはどんな能力があるの?」
「内緒よ。でも、現存する魔法では、多分存在しないものばかりね」

 陰陽玉や弾幕やスペルカードや空を飛ぶ程度の能力だなんて、正直言えない。あくまでも最終手段だし、見せるのも面倒くさい。
 スリザリン内では、特に孤立する事も目立つ事もなさそうだ。

「本当はそんなのないんじゃないの?」

 犬のような顔をした女の子が、嫌味たらしい表情を浮かべて言った。しかし、私はそんな煽りに乗るような子供ではない。気持ちを抑える必要もなく、私は淡々と述べた。

「信じるも信じないもアンタの勝手。言いたければ言えば良いわー。私は気にしないから」
「あっそう。じゃあ言わせてもらうけど、アタシ『博麗』なんて家名聞いた事ないわ」

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