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巫女のホグワーツ入学記
魔法使い? 私は博麗の巫女よ
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「ふむ、猫柳に、フウーパーの羽毛…奇怪な美しい魔法を使うのに最適。これは初代より受け継がれてきた杖です。どうぞ試してみなされ」

 カラフルな杖を受け取り、指先が何やら熱く感じた私はオリバンダーに促すままにヒュッと一振りした。すると杖先から、杖と同じように色鮮やかな閃光が飛び出し、空中で遊び、ぶつかって分裂していった。その刹那は美しく、オリバンダーを巻き込んで瞳を魅了していた。光が失せると、彼は長らくかかっていた魔法が解けたかのように、頭をブルッと震わせた。
 そして私に、哀れんでいるような、悲しんでいるような、そんな多くの感情が入り混じった目を向けてきた。何も言わない老人を前に、私は動揺する事なく、大きくため息をついた。

「これをいただくわ」
「そ、そうですな…7ガリオンです」
「何か言いた気な顔ね、オリバンダーさん?」

 私は袋から7ガリオンを取り出しつつ、薄ら笑いを浮かべてオリバンダーに聞いた。

「この杖、初代より受け継がれてきたって言っていたけど…杖は持ち主を選ぶと読んだわ。そんなにも頑固な杖なのかしら?」
「いえ、そういうわけではなく…猫柳もフウーパーの羽毛も、杖の材料としてはとても珍しく、と同時に杖も持ち主をよくよく選ぶのです。この杖は、『特殊な力を持った者』を選ぶと、初代は言っていたそうです」
「『特殊な力』ね…まぁ良いわよオリバンダー、良い杖が買えた」

 私はそれだけ言い残すと、店を去る。

 荒れ交う人々の真ん中で、赤の巫女が一人佇んだ。
 閉じ込められた物語の中心で、私は何を守れるのだろう。
 幻想郷で私は、秩序と平和を守り続けた。代々巫女に受け継がれし「博麗大結界」により、私は強大な力と人望を盾にして幻想郷を守り続けた。
 終わりなき世界の果てから、私は出る事もできない。ただ今は楽しもう。異変にも、妖怪にも、結界にも幻想郷にもーー何にも捉われず、物語の終焉までの日々を。

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