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巫女のホグワーツ入学記
魔法使い? 私は博麗の巫女よ
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霊夢は暖炉を使った事がある?」
「いいえ、私は普段空を飛んで移動するから」
「箒を使うのか。面倒だなぁ」
「そうね…箒…」

 そういえば、私が「空を飛ぶ程度の能力」を持っているだけで、普通の人間は空を飛ぶ事ができないのだった。箒を扱う際も、またがってその能力を使って猛スピードを出しているだけの話。クィディッチの才能があるとか、変な事を言わないでほしい。ただ反射能力が高いだけだ。

 フレジョとロンが移動した後、私は大幣を持ちつつ暖炉の中に入った。大幣は、巫女服と同じで幻想郷の名残のような気がして、どうしても肌身離さず持ってしまっていた。大幣を使って魔法らしきモノを使う事もできたが、この世界では幻想郷のように杖なしで魔法を使う事ができないため、大幣を使うのはあくまでも最終手段という事にしておこう。
 私は「煙突飛行粉(フルーパウダー)」を手に取り、叫んだ。

「ダイアゴン横丁!」

 *

 その後、グリンゴッツに行ってウィーズリー家の金庫でお金を取り、制服のローブを買い、教科書を買い、最後に魔法の杖を買う事になった。大幣が杖の代わりになってくれるが、やはり魔法界で杖を使わない事は不審なのだ。新しい杖を買うのは、私だけ。ロンはお下がりの杖を使うようだったので、赤毛一家はダイアゴン横丁の入口である場所、「漏れ鍋」で先に昼食を食べているはずだ。
 多くの魔法使いの乱れるダイアゴン横丁には、紀元前から開かれる杖店があった。ドアを開けると涼しい鈴の音が店に響き、人が入った事を伝えた。
 平然と杖箱の積み上げられた埃っぽい店の奥からは、満月のような大きな瞳を持った老人が出てきた。彼が店主のオリバンダーだろう。

「初めましてお嬢さん、素敵な服ですな」
「そう…えーと、オリバンダー老人? 杖がほしいのだけど」
「おぉ勿論ですとも。杖腕は何方ですかな?」
「利き手…私は両利きだけど、あえて挙げるなら右よ」
「では失礼して」

 オリバンダーは巻尺を取り出し、私の体を測り出した。つま先から頭のてっぺんまで。万遍なく測り終わると、彼は巻尺をしまった。何やら眉間にシワを寄せている。

「うむ…お嬢さん、貴女は何やら普通の人間と少し違うようで。間違いないでしょうか?」
「…まぁそうね。普通の人間とは違うわ」

 幻想郷の守り主であり、妖怪さえも手を出す事は許されない私は、確かに普通ではない。尤も、幻想郷に「普通」などという言葉は何処へ行っても見つける事ができないだろう。オリバンダーは唸りつつも、店の奥に入っていき、杖の箱を取り出して戻って来た。震える両手で慎重に箱を持ち、ゆっくりゆっくりと歩いてくる。
 そして箱を開き、中から杖を取り出した。細いが色鮮やかな美しい杖だった。彼はそれを私に渡し、徐に言葉を並べ始めた。

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