暁 〜小説投稿サイト〜
巫女のホグワーツ入学記
魔法使い? 私は博麗の巫女よ
[1/9]

[1] 最後 [2]次話
 
 とある涼し気な昼下がり。
 私はいつもの巫女服を身につけ、神社の周りを掃除していた。私の管理する「博麗神社」には、相変わらず参拝客などやってはこない。御神体様の名前も知らない私が巫女をしているせいか、ただ単に来るのが面倒なだけかーーまぁ、今は私しかいない。
 先ほど昼食としておにぎりを食べたが、あまり腹に溜まらない。夏の幻想郷の豊かの緑が風に揺れ、私の長い髪も靡いた。その気持ち良さと共に、声も流れてくる。

『オーイ霊夢! 霊夢〜!!』

 誰かが私の神社へやってくる。それは石の階段を駆け上がり、鳥居の奥から姿を現した。黒い魔女服に白いエプロン、大きな魔法使いの帽子を被った私の友人ーー霧雨魔理沙だ。

「ん? 魔理沙、どうかしたの? 昼食はもうないわよ」

 魔理沙は手に本を持っていた。また紅魔館からくすねてきたのだろうか。盗品を神社を持ち込むのは止めろ。

「いやぁ、パチュリーに面白そうな本を貸してもらったからさ。暇だし神社で読もうと思ってな。昼食はさっき咲夜の紅茶を飲んできたから良いよ」
「…貸してもらったじゃなくて、盗んできたの間違いじゃない?」
「違う違う〜…んま、良いだろ。どうせ霊夢も暇だろ? 一緒に読もうぜ〜、何だか魔道書じゃないっぽいしな。物語みたいだ」

 白黒の魔女は、本を片手にスキップをしながら私の元へと駆け寄ってきた。私は苟も「博麗神社」の巫女”博麗霊夢”なわけなのだが、仕事は掃除程度。参拝客が来ないんじゃ仕方がない。
 私も魔理沙の暇つぶしに付き合ってやろう。

「どんな題名?」
「んー? 『ハリー・ポッターと賢者の石』ってさ。ハリー・ポッターって誰?」
「私が知るわけないでしょ。ふーん、まぁ面白いかもしれないわね」
「だろ? ほら」

 魔理沙は私に本を渡してきた。皮表紙で、随分と重い新しい本だった。表紙には、黒い文字でさっき魔理沙が言った通りの題名が書かれている。何だか魔力が流れているような気配がして、私は不信感を覚えた。魔理沙が「開け開け」しつこいので、ため息をつきつつ私は本を開いた。

「何々…? プリベット通り4番地の住人ダーズリー夫妻は、『おかげさまで私達は何処からどう見てもまともな人間です』というのが自慢だった。…”まとも”ねぇ…幻想郷にそんな人間は存在しないわよ」

 ふと幻想郷の人間の姿が頭に浮かぶ。魔理沙、咲夜、早苗ーー碌な奴がいない。

「そりゃあまぁな。外の世界の本みたいだから」
「へぇ…」

 私はページを捲っていく。途端、何の変哲もない本の紙がとてもつもない光を放ち始めた。あまりの眩さに目も向けられず、私は思わず目を瞑る。
 魔理沙の叫び声も束の間、私はすぐさま意識を失った。美しい景色の咲き乱れる幻想郷の守り主は、たった一冊の本によ
[1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ