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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
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種族があれを使えるほどに火属性スキルをマスターするのは至難の技と言っていい。ということは__
「スイルベーンにサラマンダーが入り込んでいた……?」
走りながら、リーファは呟いた。もしその想像が的中しているとすれば容易ならざる事態だ。スイルベーンは比較的多種族の旅行者に門戸の開かれた術だが、敵対関係にあるサラマンダーの侵入だけは厳しくチェックしていた。強力なNPCガーディアンが、見つけ次第斬り倒しているはずなのだ。それを掻い潜る手段は極少ない。
「お、湖だ」
お前方を走るキリトの声が、リーファとネザーの意識を引き戻した。顔を上げると、ゴツゴツした通路はすぐ先で石畳の道に変わり、その向こうで空間がいっぱいに開けて、青黒い湖水が仄かに光っていた。
湖の中央を石造りの橋が一直線に貫き、彼方には空洞の天井まで繋がる巨大な城門が聳え立っている。鉱山都市ルグルーの門だ。その内部に飛び込んでしまえば、この鬼ごっこはリーファ達の勝利だ。
少しばかり安堵して、リーファは再び後方を振り返った。追手の灯す赤い光とはまだかなりの距離がある。これなら__、そう思って石畳を蹴る足に力を込める。
橋に入ると、周囲の温度がわずかに下がった。冷んやりと水の香りがする空気を切り裂いて疾駆する。
「どうやら逃げ切れそうだな」
「油断して落っこちないでよ。水中に大型のモンスターがいるから」
キリトと短く言葉を交わしながら、橋の中央に設けられた円形の展望台に差し掛かった、その瞬間だった。
頭上の暗闇を、背後から2つの光点が高速で通過した。特徴的な輝きと効果音は、魔法の起動弾に間違いない。追ってくるサラマンダー集団が悪足掻きで放ったものだろうが、照準がまるで外れている。
着弾をやり過ごしてから走り抜ければいい、と走るスピードを緩めた直後、光点の10メートルほど先に落下した。
爆発を予期し、リーファは右腕を顔の前に翳そうとしたが、しかし続いた現象は予想外のものだった。ゴゴーン!という重々しい轟音と共に、橋の表面から巨大な岩壁が高く迫り上がり、行く手を完全に塞いだのだ。顔を顰め、反射的に毒づく。
「やばっ……」
「な……」
「ちっ……」
ネザーの舌打ちでピリオドが打たれる。
キリトも一瞬眼を丸くしたが、走る勢いは緩めなかった。背の巨剣を鈍い金属音と共に抜き放つと、それと一体になって完璧に突進していく。
「あ……キリト君!」
無駄よ、と口に出す暇はなかった。キリトは巨剣を思い切り岩に打ち込み、ガツーン!という衝撃音と共に弾き返されて橋に尻餅をついた。
褐色
(
かっしょく
)
の岩肌には傷1つついていない。
「無駄よ」
翅を広げて急制動をかけ、キリトの横に停止すると、改めてリーファは言った
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