暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
尾行
[6/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
を呑んで眼を凝らした。洞窟の暗闇の中に__確かに小さな赤い影かヒラヒラと飛翔し、こちらに近づいてくる。あれは__

「……くそっ」

無意識の内に罵り声を上げると、リーファは窪みから道の真ん中に転がり出た。自動的に隠蔽魔法が解除され、キリトも戸惑い顔で体を起こす。

「お、おい、どうしたんだよ?」

「あれは、高位魔法のトレーシング・サーチャーよ!!潰さないと!!」

叫びながら両手を前方に掲げ、スペル詠唱を開始。長めのワードを唱え終わると、リーファの両手の指先からエメラルド色に光る針が無数に発射された。ビィィィ、と空気を鳴らし、赤い影目掛けて針が殺到していく。

コウモリはフワリフワリと宙を漂い、巧みに射線から身をかわし続けたが、やがて弾数の多さに屈したように数本の針に貫かれて地面に墜落し、赤い炎に包まれて消滅した。それを確認するやリーファは身を(ひるがえ)し、キリトとネザーに向かって叫んだ。

「2人とも、街まで走るよ!!」

「え……また隠れるのはダメなのか?」

「トレーサーを潰したのは敵にももうバレてる。この辺に来たら山ほどサーチャーを出すだろうから、とても隠れきれないよ。それに……さっきのは火属性の使い魔なの。ってことは、今接近してるパーティーは……」

「サラマンダーか!」

察しのいいところを見せたネザーも顔を(しか)めた。そのやり取りの間にも、ガシャガシャという金属音の混じった足音は大きくなっていく。リーファがもう一度チラリと振り返ると、彼方の暗闇にチラリと赤い光が見えた。

「行こう」

頷き合い、3人は走り出した。

一目散に駆けながらマップを広げて確認すると、この一本道はもうすぐ終わり、その先に大きな地底湖が広がっていた。道は湖を貫く橋に繋がり、それを渡り終えれば鉱山都市ルグルーの門に飛び込むことができる。中立都市の圏内はアタック不可能なので、いかに敵の数が多くとも何もすることはできない。

でも、どうしてこんな所にサラマンダーの大集団が……。

リーファは唇を噛んだ。トレーサーに付けられていたということは、連中は最初からリーファ達を狙っていたということだ。しかしスイルベーンを出てからは、ユイのサーチ能力のせいでそんな隙はなかったはずだ。可能性があるとすれば、まだスイルベーンの街中にいた時に、すでに魔法を掛けられていたという線しかない。

火属性の魔法を使うシルフもいないわけではない。各種族の魔法は、風ならシルフ、闇ならインプというように特定の種族に(ひい)でた適正があるが、習得に苦労するだけでスキルを上げること自体は可能だ。

だが、さっき潰した赤いコウモリは、目標を追跡するトレーサーと、隠蔽を暴くサーチャーの機能を兼ね備えた高位の術で、サラマンダー以外の
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ