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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
アルンへの旅路
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草原の先に聳え立つ、真っ白に冠雪した山脈を指差す。

「あれが飛行限界高度よりも高いせいで、山越えには洞窟を抜けないといけないの。シルフ領からアルンへ向かう一番の難所らしいわ。あたしもここからは初めてなのよ」

「なるほどね」

「その洞窟は長いのか?」

「かなりね。途中に中立の鉱山都市があって、そこで休めるらしいけど……。キリト君、ネザーさん、今日はまだ時間大丈夫?」

訊かれた途端、2人は左手を振ってウィンドウを出すと時計を確認し、頷いた。

「リアルはもう夜7時だが、問題ない」

「俺も当分平気だよ」

「そう、じゃもうちょっと頑張ろう。ここで1回ローテアウトしよっか」

「ろ、ろーて?」

「ローテアウト。交代でログアウト休憩することだ。中立地帯だから、即落ちはできない。だから代わり番こでログアウトし、残った奴が空のアバターを守る、という仕組みだ」

言葉の意味が理解できない黒衣の妖精に、ネザーが詳細に説明する。

「なるほど、そういうことか。なら、リーファからどうぞ」

キリトは紳士らしく女性のリーファに先を譲った。

「じゃあ、お言葉に甘えて。20分ほどよろしく」

言うと、リーファはウィンドウを出し、ログアウトボタンを押した。警告メッセージのイエスボタンに触れると、周囲の風景が中央の一点に流れ込むかの如く遠ざかり、消えていった。

リーファがログアウトし、残されたキリトとネザーは久々に仮想世界で2人きりになった。

「なんか不思議だな」

「何が?」

突然のキリトの発言を疑問に思った。

「俺達SAOじゃ、ダンジョンやボスを攻略するだけだったのに……ここじゃ長旅みたいなことしてる」

「ここはSAOじゃないからな。__まぁ、不思議に思うのはわかるが」

「だろ」

そもそもこんなやり取りをしていること自体が俺にとっては不思議だった。SAO時代ならともかく、現実に帰還した後も、俺とキリトは再び巡り会い、共に仮想世界にやってきた。仮想世界は人の心の穴を埋めるものだと思ってきたが、最近は人と人を結び付けるものだと思えるようになってきた。

「そういえば……お前に訊きたいことがあるんだけど」

「何だ?」

俺は今にもやってくる質問に態勢しようとする。

「どうしてお前は……俺と一緒にALOに来てくれたんだ?」

「は?」

質問の意図が理解できなかった俺の態度を、キリトはすぐさま悟った。

「エギルの店で、お前は確かこう言ったな。自分の眼で確かめたいことができた、お前には74層での借りがある、と。でも理由はそれだけじゃないだろ」

「………」

勘が鋭い奴だとは思っていたが、まさか自分の深層心理に入り込んでくると
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