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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
スイルベーン
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音が美しい重奏(じゅうそう)をかなでる。

「はうー、わたしもうダメです〜」

ユイという名のピクシーがキリトの胸ポケットにスポンと飛び込んだ。俺が横目で睨む中、リーファとキリトは顔を見合わせ、笑う。

気づくと、前方で森が切れ、その向こうに色とりどりの光点の群が姿を現しつつあった。中央から一際明るい光のタワーが伸びている。シルフ領の首都《スイルベーン》と、そのシンボルである《風の塔》だ。街にぐんぐん近づき、すぐに大きな目抜き通りと、そこを行き交う大勢のプレイヤーまでも見て取れるようになってくる。

「お、見えてきたな!」

風切り音に負けない大声でキリトが言った。

「真中の塔の根元に着陸するわよ!……って……」

不意にあることに気づいて、リーファは笑顔を固まらせた。

「キリト君、ネザーさん、ライティングのやり方わかる……?」

「問題ない」

と俺は答えたが、キリトは顔を強張らせた。

「わかりません……」

「えーと……」

「………」

すでに、視界の(なか)ば以上が巨大な塔に占められている。

「ごめん、もう遅いや。幸運を祈るよ」

「あばよ」

ニヘヘと笑うリーファと、無関心な俺は急降下に入った。翅をいっぱいに広げて制動をかけ、足を前に出す姿勢で広場めがけて降下を開始する。

「そ……そんなバカなあぁぁぁーーーー」

黒衣のスプリガンが絶叫と共に塔の外壁に目掛けて突っ込んでいくのを見送りながら、心の中で合掌(がっしょう)

数秒後、ピターン!!という大音響が空気を震わせた。

「うっうっ、ひどいよリーファ、ネザー……飛行恐怖症になるよ……」

翡翠(ひすい)(いろ)の塔の根元、色とりどりの花が吹き乱れる花壇に座り込んだキリトが恨みがましい顔で言った。

「眼が回りました〜」

キリトの肩に座るピクシーも頭をふらふらさせている。リーファは両手を腰に当て、笑いを?み殺しながら答えた。

「キミが調子に乗りすぎなんだよ〜。もっとネザーさんを見習うべきよ。それにしてもよく生きてたねぇ。絶対死んだと思った」

「うわっ、そりゃあんまりだ」

「こいつは死なねぇよ。バカだから」

最高速度で壁面に激突しておきながら、キリトのHPバーはまだ半分以上残っていた。運がいいのか受け身が上手なのか、本当に謎の多い初心者である。

「まあまあ、回復してあげるから」

リーファは右手をキリトに向けて翳すと回復スペルを唱えた。青く光る雫が掌から放たれ、キリトに降りかかる。

「お、すごい。これが魔法か」

興味津々という風にキリトが自分の体を見回す。

「高位の治癒魔法はウンディーネじゃないとなかなか使えないんだけどね。必須スペルだか
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