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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
第75層の驚異
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「偵察隊が、全滅だと?」
2週間ぶりに第55層《グランザム》にある血盟騎士団本部に戻った俺を待っていたのは、衝撃的な知らせだった。
ギルド本部となっている鋼鉄塔の上部、かつてヒースクリフとの会話に使われたガラス張りの会議室である。半円形の大きな机の中央にはヒースクリフの賢者然としたローブ姿があり、左右にはギルドの幹部連が着席している。
ヒースクリフは顔の前で骨ばった両手を組み合わせ、
眉間
(
みけん
)
に深い谷を刻んでゆっくり頷いた。
「来たるボス戦に備え、5ギルド合同パーティー20名を偵察隊として送り込んだ」
ヒースクリフは
抑揚
(
よくよう
)
の少ない声で続けた。半眼に閉じられた
真鍮
(
しんちゅう
)
色の瞳からは表情を読み取ることはできない。
「偵察は慎重を期して行われた。10人が後衛としてボス部屋の入り口で待機し……最初の10人が部屋の中央に到達して、ボスが出現した瞬間、入り口の扉が閉じてしまったのだ。ここから先は後衛10人の報告になる。扉は開かなかったが、5分ほど経過してようやく扉が開いた。しかしその時は……」
ヒースクリフの口元が固く引き結ばれた。一瞬眼を閉じ、言葉を続ける。
「部屋の中には、何も無かったそうだ」
「何も無かった?」
「10人の姿も、ボスも消えていた。転移結晶で脱出した形跡もなく、彼らは帰ってこなかった。念のため、基部フロアの黒鉄宮までモニュメントの
名簿
(
めいぼ
)
を確認しに行かせたが……」
その先は言葉に出さず、首を左右に振った。今の動作は、偵察隊10人は死んだということを表している。更に、その10人がボス部屋から脱出できずに死んだ理由を悟った。
「クリスタル無効化エリア……だな」
俺の答えにヒースクリフは小さく
首肯
(
しゅこう
)
した。
「そうとしか考えられない。アスナ君の報告には74層のボス部屋もそうだったということだから、おそらく今後全てのボス部屋が転移結晶無効化空間と思っていいだろう」
それが事実なら、思わぬアクシデントで死亡する者が出る可能性が
飛躍的
(
ひやくてき
)
に高まる。死者を出さずにゲームを攻略していくのが、より難しくなるだろう。
「本格的なデスゲームに突入した、ということだな」
「そうだ。だからと言って攻略を諦めるわけにはいかないがね」
ヒースクリフは眼を閉じると、囁くような__だがきっぱりとした声で言った。
「結晶による脱出が不可な上に、今回はボス出現と同時に背後の退路も絶たれてしまう構造らしい。ならば統制の取れる範囲で可能な限り大部隊をもって当たるしかない。君もそれに備えたまえ」
俺はすぐさま答えた。
「ボス攻略には当然参加する。だが、念のため言っておこう。俺にとってはボスを倒すことが最優先だ。あんたのように
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