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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
第75層の驚異
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右手に剣を下げたまま、口を開いた。
「これが伝説の正体だ。こいつのHPは、どうあろうと
注意域
(
イエロー
)
にまで落ちないようシステムに保護されている。……この世界で不死属性を持つ者といえば、システム管理者以外あり得ない。この世界の管理者といえば……1人だけだ」
言葉を切り、上空をちらりと見やる。
「……この世界に来てから……ずっと疑問に思ってきた。奴は今、どこで俺達プレイヤーを観察し、世界を調整しているのか……?俺はゲームを進めるうちに、わかったことがある」
俺は紅衣の聖騎士にまっすぐ視線を据え、言った。
「《他人のやっているRPGを
傍
(
はた
)
から眺めるほどつまらないつまらないことはない》とな。……そうだろ、茅場晶彦」
全てが凍りついたような静寂が周囲に満ちた。
ヒースクリフは無表情のままジッと俺に視線を向けたままだ。周りのプレイヤー達は皆身動き1つしない。いや、できないと言うべきだ。
その場にいたプレイヤー達の瞳は、虚無の空間を覗き込んでいるようにヒースクリフに集まった。全員の注目が集まる中、ヒースクリフの唇が動き、言葉を発した。
「……なぜ気づいたのか、参考までに教えてもらえるかな?」
「……ヒースクリフとしてのあんたと初めて会った頃から、ずっと疑ってた。あんたの、全ての物事を見通すようなその眼は、今でもよく覚えているからな。そして、決定的に怪しいと思ったのは、あんたとのデュエルだ。最後の一瞬、あんたは余りにも速過ぎた。普通のプレイヤーが、あんなに速く動けるはずがない」
「やはりそうか。あれは私にとっても痛恨事だった。君の動きに圧倒されて、ついシステムのオーバーアシストを使ってしまったよ」
ヒースクリフはゆっくり頷くと、表情を見せた。唇の
片端
(
かたはし
)
を歪め、
仄
(
ほの
)
かな苦笑の色を浮かべる。
「本当なら95層に達するまでは明かさないつもりだったが……」
ゆっくりとプレイヤー達を見回し、笑みの色合いを超然としたものに変え、紅衣の聖騎士は堂々と宣言した。
「確かに私は《茅場晶彦》だ。付け加えれば、最上層で君達を待つはずだったこのゲームの最終ボスでもある」
衝撃的な宣言に、俺以外のプレイヤー達は騒然。中にはよろめく者もいた。
「……最強のプレイヤーが一転、最悪のラスボスとはな。あまりいいシナリオとは言えないぞ」
「私はなかなかいいシナリオだと思うがね。しかし、たかが4分の3地点で正体を看破されるとは。さすがにこれは私のシナリオにもなかった」
このゲームの開発者にして1万人の精神を
虜囚
(
りょしゅう
)
した男、茅場晶彦は見覚えのある薄い笑みを浮かべながら肩を
竦
(
すく
)
めた。ヒースクリフとしてのその
容貌
(
ようぼう
)
は、現実世界の茅場晶彦とは明らかに異なる
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