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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
第75層の驚異
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「ダメだネザー!厄介者のお前を排除する気だ!今は退け!」

キリトの必死の呼び掛けは、俺の耳に届かなかった。自分の中に閉じ()もっていた。

今目の前にいるヒースクリフ/茅場晶彦はシステムそのものに介入できる管理者。一般プレイヤーが倒せるような相手ではない。ただ、1人を除いては__。

「俺と1対1で戦うと言ったが、具体的にどう戦うつもりだ?」

ヒースクリフは唇を歪め、笑みを浮かべ答えた。

「私は不死属性を解除し、自身のHPや攻撃、防御などにシステムの力を加える。そしてキミは……内なる力を駆使して私に挑む」

《内なる力》という言葉を聞いたキリトとアスナは首を傾げた。

「わかるかね、ネザー君?……変身してもかまわないということだよ」

《変身》という言葉が現れ、俺は選択を迫られた。

確かにビートライダーに変身して戦えば、いくらゲームマスターといえど倒せるはず。しかし、その代償として周囲の地面に倒れるプレイヤー達に自分の正体を看破することになる。ここは退き、改めて対策を練るのが最上の選択だと思われるが__。

晶彦の与えたチャンスは、まさに二度と訪れない千載一遇(せんざいいちぐう)のチャンスだ。このチャンスを放棄しても、次の層で更なるボスに挑むことになる。先ほどの百足モンスターより手強いボスを相手にすることになるかもしれない。

最上層__第100層に到達するまで。

どの道戦うことに変わりはない。

奴は己の創造した世界に1万人の精神を閉じ込め、そのうちの4000人の意識を電磁波によって焼却せしめるに(とど)まらず、自分の描いたシナリオ通りにプレイヤー達が愚かしく、哀れにもがく様子をすぐ傍から観察していた。

茅場晶彦の助手としてSAOの開発に手を貸した俺もある意味、同罪だ。死ぬことが罪の償いになると思ってるが、今はまだ死ねない。デュエルに勝利し、現実に帰還し、両親を殺したあの《黒いスピードスター》を倒すまでは__絶対に死ねない。

様々な思いが交差する中、とうとう俺は苦渋の決断を下した。

「いいだろう。決着をつけよう」

そう言ってゆっくりと頷いた。

「ネザーっ……!」

キリトの悲痛な叫び声に、ほんの少し首を向け、視線を落とす。

「黙って見てろ」

無言でこちらを見ているヒースクリフにゆっくりと歩み寄りながら、右手に握られた片手剣を鞘に収めた。チン、という金属音が鳴り響いた後、俺の真上の空から水面波が現れた。

ワームホールから飛び出してきたシステム外の存在__《カブトゼクター》が翅音と共に円を描きながら舞い降り、俺の右の手のひらに着地した。次いで、銀色に輝くベルトが俺の体内から押し出されてくるように腰に現れた。

カブトゼクターとベルトを見た
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