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Muv-Luv Alternative 帝国近衛師団
第二話
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娠していた。
 隆仁の心配のしようは傍から見ても過保護と一瞬で分かるレベルだったが、それでも正仁の時よりは落ち着いていた。正仁が初めての子であり、隆仁自身父親として初めて尽くしの事ばかりだったからで、二回目である今はそこまで過保護ではない。

「それなら良いが……」
「隆仁様は本当に心配性ですね」

 隆仁の心配ぶりに思わず苦笑いになる愛子だったが、それに気がつかない隆仁だった。



 こうして穏やかな一日が過ぎていった。








 そして一週間後。







 一九七七年 九月二二日 帝都 宮内省病院


 秋の空に美しく輝く夕焼けが浮かんでいた。


 病室の前でもの凄い速さの貧乏揺すりをしている隆仁の姿があった。
 その隣で智忠とじゃれ合っている正仁、隆仁を見てため息をつく博恭、その光景を見て柔らかな笑みを浮かべる載仁がいた。

「隆仁殿、少し落ち着いたらどうだ?」

 二年前と全く同じ光景を見せられて呆れる博恭が言った。博恭自身、子供は五人いる。隆仁の不安な気持ちは分かるがここまで不安そうな姿を見せられると、同情よりも呆れてしまう。

「これでも十分落ち着いていますよ博恭殿……」
「はぁ〜……ではまずその貧乏揺すりを止めたまえ」

 心配のあまり冷や汗を流している隆仁の答えに呆れ果てる博恭だった。




 そうしている内に時間は流れ、時計の針は夜の七時になっていた。夕焼けはすっかり沈み、夜となり月が輝いていた。智忠とのじゃれ合いに疲れたのか、正仁は吐息を立てながら寝ている。
 起きているのは四人の大人だけだったが、そこに新たな人影が現れた。 

「いや〜今回は何とか間に合いましたかな?」
「これは近衛殿、わざわざご足労感謝いたします」
「いえいえ、二年前は間に合いませんでしたから……。こちらも立ち会わせていただき感謝しております。隆仁殿下」

 近衛と呼ばれた人物は深く一礼した。スーツ姿にちょび髭という格好で一つ一つの動作が優雅で、貴族を思わせる紳士であった。

 彼、近衛篤麿(あつまろ)は公家五摂家筆頭の家柄の嫡子で帝国議会議員を務めている人物である。近衛家は公家の中で最も皇室に近い血統を持っている。 

「議会から直接来られたのですか?」
「ええ、少々話が長引いてしまいましてこんな時間になってしまいました。今年配備される戦術機の事に加えて大陸の現状、軍事予算の取り合い……面倒な話ばかりですよ」

 肩をすくめながら近衛はそう言った。隆仁、博恭、載仁、智忠の四人は軍人なので軍の現状を内部からつぶさに見ているので近衛が肩をすくめる理由もわかった。

「武家……城内省がまた何か無茶なことを言ったのですか?」

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