暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
Behind the truth
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いるわよね?」

「無論。私はゲームマスターとして調整される過程で、忘却という機能が削ぎ落とされている。つい昨日のようにリフレインできるとも。《災禍》の伴侶たる《彼女》を――――なぶり殺しにされ、吐き捨てるように殺されたあの娘を見出し、野に放ったあの瞬間は」

単純に、ホロウ・データであって、プレイヤーそのものを生き残らせていないのは、それを為せる権限がカーディナル自身にも与えられていないためだ。

HPがゼロになった瞬間、死ぬ。

それは一種の概念やルール、法則のようなレベルで、あの世界の常識になっていた。

生き返った――――否、無理矢理甦らされたあの《少女》が、喜びというありふれた感情に簡単に押し潰されたのも、ひとえに《彼女》が本物ではなかったからという明確な理由が存在する。

ホロウ・データは、単なるAIの一種であり、しかもその完成度は同じトップダウン型AIであるMHCP達と比べるとかなり目劣りする出来だ。生体脳ほどの処理能力を持たない《彼女》では、一連の中で積み重なった感情エミュレータの過剰振幅に耐えきれなかったのだろう。

「……なら、その危険性についても知っているはずよね。MHCP(ユイ)を通じて、感情収集システムそのものを逆手に取り、《四凶》という、本来プログラム上に存在しえない新たなモノを創りだした、あなたなら」

「《災禍の鎧》による……色彩変化」

「小日向相馬唯一の家族、小日向蓮は替えのきかない代物。それを言ったのはあなたでしょう?彼の《色》を変化させないために、いざという時にどんな《色》にも染められるよう、そのためだけにいったいどれだけ消費したと思っているのよ。確かに今回、《災禍》によってあの子が歪んだのは僅かかもしれない。けれど、その歪みがどれだけ致命的なのか、あなたは把握しきれているの?」

今にも張り裂けそうな心の内を必死で抑えながら、真っ白な少女は続ける。

「分かっているの!?小日向蓮がいなければ、この子は――――マイは……ッ!!」

だが、その叫びに対して、タキシードを着た男はしばらく無言だった。

ホロウ・エリア管理区。その円形の空間のド真ん中に据えられたコンソール上に浮かぶ幾多のホロウインドウを一瞥した男は、ふぅと短い呼気を吐き出す。

そして、カーディナルと呼ばれる男は簡潔に言い放った。

「もう、あの少年はダメだ」

「――――ッッ!!」

主題が欠落した、簡単な言葉だった。

だが、その言葉は少女に大きすぎる衝撃を与えた。足元がぐらつくように感じるほどの心的ショックを受けたイヴと呼ばれる少女は、絞り出すように口を開く。

「そん、な……。あの子……、あの子が、マイの《代わり》になるって――――ッ!!」

「……イヴ。君は、今回のG
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