暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
Behind the truth
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る。

だが、よくよく目を凝らすとその印象が違うという結論を得るだろう。遥か彼方で瞬くのは、素っ気ないバイナリデータの欠片。そして、地平線のようにうねっているのは、データの海とでも呼称すべき、データの塊が平面体を成しているだけだ。

そんな空間の中。足元さえ透明に設定されている不可思議の中、それを超える不可思議を内包する《男》が佇んでいた。

その後ろ姿を視認しただけで気が狂いそうなほどの憤激が身を焦がすのを感じながら、それでも真っ白な少女は口を開いた。

この空間に入った時点で――――否、そもそも最初からこちらの動向などこの男にとっては、まさしく手のひらの上のことのように把握されていたことだろう。

それでも。

原則だろうが規則だろうが、どうでもいい。

様式美のように、少女はこう言った。



「久しぶりね――――カーディナル」



銀糸を爪弾いたかのようなその言葉に。

燕尾服(タキシード)を着たその男は、ゆっくりと振り返りながら薄く笑った。

「久しぶりだな……イヴ。アリアドネの糸、神たる全知と魂を繋ぐ道標よ」










――――カーディナル。

その単語が指し示す意味は、主に三つの意味がある。

一つ目は、現実世界のカトリック教会組織における高位の役職だ。日本語では枢機卿と呼ばれる。

二つ目は、アトリ科の鳥の名前。日本語では猩々紅冠鳥、全身に枢機卿が着る法衣と同じ緋色の羽毛が生えていることから名付けられた。

そして三つ目が――――茅場晶彦によって開発されたVRMMOゲーム運営用の高機能自立プログラム、《カーディナル・システム》だ。最初のバージョンがSAOに用いられ、アインクラッド内の通貨、アイテム、モンスター出現バランスを絶妙に調節し、幾多のプレイヤーを手玉に取っていた。

これだけでも知る者はほとんどいない。

だが、その中でもさらに限られた人数だけが知る、その先がある。

SAOを創造した狂気の天才、茅場晶彦でも完全なスタンドアロン型のGM用システムを作ることはできなかった。彼は当時、AI研究の最先端として《(フラクトライト)》の存在を提唱していた《鬼才》小日向相馬に協力を求める。

結果的に誕生したのは、従来のカーディナル・システムと二人三脚で管理権を与えられたAI《カーディナル》。

だが、完全無欠な世界の管理者たらんと生み出された彼には、唯一の欠点があった。

それが、未知への渇望。

本人が言うには知識欲だが、はっきり言ってあの入れ込みようはもはや執念を超えた、人間でいう食物や空気と同じようなものに思える。

万物を識る。

そのためだけに数々の非道な手段、手法を行使してきたAIプログラム、カ
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