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レーヴァティン
第四話 村で聞くことその六
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「ビタミンの補給には」
「蜜柑とかオレンジとかか」
「レモンやライムもだ」
「そういうの食ったらいいんだな」
「旅の途中はな」
「そういえばイギリスの連中がライミーとか呼ばれてたな」
「あれは差別用語だが」
 所謂罵倒語であるというのだ。
「イギリス海軍の水兵への言葉だった」
「だからイギリス組が言われてたのか」
「英仏戦争の時にアメリカ軍の連中がそう呼んだのだ」
 イギリス海軍の水兵達をというのだ。
「ライムを絞った汁を入れたラム酒を飲んでいたからな」
「ビタミン補給にか」
「そうだ、大航海時代はよく壊血病で死んだ」
「ああ、それ俺も聞いてるよ」
 久志もその話は知っていた、それで英雄に知っている顔で応えることが出来た。
「マゼランの航海とかそれで大変だったんだな」
「食いものといえば塩漬けの肉や岩みたいなビスケットや蛆がいるパンだ」
「肉以外食いたくないな、おい」
「その肉も口が曲がる位に塩辛かったらしい」
「ああ、じゃあそっちも遠慮するな」
「そういったものもなくなると鼠でも船から出る木屑でも何でも食った」
 そうしてでも生きようとしたのだ、大海原の中で。
「そしてその中でだ」
「壊血病でもどんどん死んだんだな」
「飢餓と疫病でもだがな」
「それでか」
「そうだ、イギリス海軍ではそうしていた」
「壊血病防止に柑橘類食ってたんだな」
 正確に言えばそれを絞った汁を酒に入れて飲んでいたのだ。
「そうだったんだな」
「このことからもわかるな」
「ビタミン補給も大事か」
「そういうことだ、生きる為にはな」
「そうか、だから茶も必要なんだな」
「後は唐辛子も買ったか」
 英雄はこちらのことも話した。
「これもビタミン補給になる」
「成程な」
「そして塩も買ったな、胡椒等も」
「味付けに塩分補給、それと肉の臭い消しか」
「そうした目的で買った」
「胡椒安かったな」
 塩もそうだった、この村では。
「中世の欧州みたいな場所でも胡椒は安いんだな」
「そこも違うな」
「さっきの大航海時代も胡椒が主な目的だったしな」
 胡椒一粒が金一粒とさえ言われていた、そこまで高価であり肉を多く食う欧州人達には必要なものであったのだ。
「それも安いとな」
「有り難いな」
「そうだよな」
「どうやらこの世界は俺達の欧州の中世より遥かに豊かだ」
「それは間違いないな」
「だから多くのものが手に入った」
「お陰で金は殆どなくなったけれどな、しかしな」
 ここでだ、久志は笑ってこうも言った。
「金は、だよな」
「またモンスターを倒してだ」
「稼げばいいな」
「金がないなら稼げばいい」
 このことについてはだ、英雄は何でもないといった口調だった。そして実際にそう考えている。そ
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