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風魔の小次郎 風魔血風録
142部分:第十三話 暖かい風その一
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「我々の勝利です」
「風魔にはこの度も苦しめられましたがこれで」
「終わりです」
 彼女達は夜叉の勝利を確信していた。波はもう逃れられないと思われた。ところがだった。
「こんな程度でな!」
「何っ!?」
「俺だってな、聖剣を持ってるんだ!」 
 叫びながら風林火山を振り被ってきた。
「そんなもの、叩き斬ってやるぜ!」
「何ィ!!」
 風林火山を思いきり振り下ろす。するとそれで津波を完全に両断してしまったのであった。小次郎と風林火山の渾身の力技であった。
「斬っただと、波を」
「今度は俺の番だ!」
 小次郎は風林火山を手に武蔵に向かって来た。
「速きこと風の如し」
「くっ!」
「静かなること林の如し」
 攻撃を繰り出しながら言葉を続ける。
「侵略すること火の如し」
 攻撃が激しくなってきた。武蔵ですら防戦になっている。
「動かざること山の如し。これが風林火山だ!」
「それが風林火山の力か」
「ただの剛刀だけと思うな!」
 さらに小次郎の攻撃が続く。
「この小次郎の剣技、見せてやる!」
「剣だと」
 剣と聞いて武蔵の目が光った。
「剣ならば負けはしない」
「何だとっ!?」
「この武蔵、剣ならばだ」
 小次郎の攻撃を的確に受け止めだしていた。最早それは小次郎の技をも凌駕しだしていた。
「誰にも負けはしない。行くぞ」
「ちいっ!」
 武蔵の攻撃がさらに激しくなる。斬るだけでなく突きを繰り出してきたのだ。その突きは流星の様であり小次郎はかわすので精一杯になってきていた。
「風林火山は斬るものだな」
「風林火山に斬れねえものは存在しねえ!」
 小次郎はそれには自信があった。
「それをまた見せてやる!」
「ならばこの黄金剣は」
 構えを取ってきた。
「貫けぬものは存在しない。受けてみろ」
「来たか!」
 小次郎は咄嗟に後ろに跳んだ。それで今の武蔵の突きをかわした。だが左腕をかすめそれはまさに間一髪であった。
「危なかったなんてものじゃねえな」
「今の攻撃をかわしたか」
 武蔵にとってはそれは思わぬことであった。表情こそ崩してはいないがそれでも声には警戒するものがはっきりと表われていた。
「腕をあげているのは事実だな」
「くっ、どういうことなんだ」
 小次郎は間合いを放したうえで武蔵を見据えて言った。

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