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世界をめぐる、銀白の翼
第三章 X《クロス》
奪取
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能力開発(カリキュラム)を受けている。
そのために、彼は「能力者」にカテゴライズされてしまい、魔術を扱えば身体が崩壊するということになっている。


かつては陰陽術のエキスパートだった彼は、一つ魔術を使うだけで血を吐き死ぬような思いをすることになってしまったのだ。

しかも開発された能力は、傷の上に薄皮を張る程度の力しかないレベル1という非常に微弱な「自動再生(オートリバース)
これのおかげで魔術を使ってもある程度は大丈夫なのだが、それでも死ぬような思いをするのだ。


「崩壊するということになっている」とはこういうことだ。


しかし、それでも彼は魔術施行の準備をしていた。



「で?襲われたのはそこの・・・」

妹達(シスターズ)、一〇〇三二号のミサカです、とミサカは簡潔に自己紹介をしてテレビのほうに向きなおします」

「はー、うわさにゃきいてたけど初めて見たにゃー」


そういって、彼は話には聞いていた第三位のクローンをまじまじと見て感心したような声を上げる。


「私たちの考えでは狙われたのはお姉様(オリジナル)のほうかと思われます、とミサカは自分の考えを述べておきハキキュアの視聴に戻ります」



『うぬの覇気が、我が五体を刺激しておるわ!!』

『ゆくぞ、フザケンナー!!この世界は私たちが守る!!ォアタァ!!』




「なるほど、古代中国に伝わる魔力「気」を、覇気と称して体を魔術で強化してるんだね。となるとあの服装は・・・・」

「何やら隣からよくわからない解説が出てますが、ミサカは純粋にこの作品を楽しみましょう、と言いながらミサカどうせ勝つであろうハキキュア応援します」



テレビの液晶の向こうで、何やらフリフリの衣装を着た少女(?)が劇画タッチに描かれて激しく戦っているのを、二人の少女が目をキラキラさせて見ていた。
二人のそのキラキラの方向性は少し違う気がするが、とにかく楽しんでいるならいいのだろう。




その二人を置いて、土御門がポイポイと折り紙を放りながら設置していく。
適当に投げているようで意味があるらしく、片手で瞬時に折っていくつか放ると、よし、と頷いて上条の隣に座り込んだ。


「もしも誰かがこの部屋に無理やり押し入ろうとした瞬間に発動するようにしたから、とりあえずは時間は稼げると思うにゃー」


土御門いわく、効果としては気配や姿を完全に遮断する結界を張る程度のものらしい。


しかし、その中に上条は入れない。
理由は右手だ。



「だからもしもの事があったら、カミやんはすぐにこのベランダから逃げろ。こっちから来たら玄関からだ」

「お前らを置いて・・・」

「お前がいて
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