第1話「舞えない黒蝶のバレリーナ」
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んでいった所で彼女は急に動きを止めて、背後に振り向いた。酷く冷たい視線が伸び、その先にいる『彼女』を射抜く。
『絵描き』の彼女は、その視線に少し怯えた様に後ろ足を踏むも、スケッチブックを抱く手に力を込めつつ、気丈にも声を発した。
そのスケッチブックから、一丁の拳銃を引き抜いて。
「……貴女ですよね。私の事、ずっと付け狙ってたの」
「あぁ……自分から来て下さるとは。気付いてたんですね」
女は恐ろしくなる程に冷たい、悍ましい笑みを口元に浮かべる。
その顔立ちは整っており、長く伸びた髪から覗く真っ白な瞳が今はとても恐ろしい。美しさが逆に恐怖となって、その女を構成する要素となっている。その顔に張り付いた作り物めいた笑みが、ただただ恐ろしい。
残虐。浮かぶ印象は、その一言のみ。
「それで、私に何か御用ですか?」
「……私を狙うのはやめてください。私は絶対に、貴女達に加担するつもりはありません」
「それは出来ませんよ。貴女が、私達に協力してくれる気になるまでは」
その返答を聞き、絵描きの女性は拳銃の引き金に指を当てる。その銃口を彼女に向け、その腕を震わせつつも、再度言い放つ。
「やめてって、言ってるの。じゃないと、本当に撃つわ」
「……そうですか」
女は興味もなさそうに呟くと、銃口を向けられていると言うのに、平然と絵描きの女性に歩み寄っていく。ビクリと震えた彼女は拳銃を両手で支えて、より一層の力を込めて拳銃を突きつけた。近付けば撃つ、そう言外に伝えようと。
しかし、女は歩みを止めない。
ただ冷たい表情のまま彼女の下に近付き、その銃を持つ。手に指先を伸ばす。その異常性から来る恐怖に耐えきれなくなったのか、絵描きの女性が引き金を引こうと力を込め――
――しかし、銃声は響かない。
「……な、なんで……っ!引けない……?撃って!撃ってよっ!」
「銃を持ったこともないんですね……いや、そもそも銃についても、あんまり知らないでしょう?」
女は彼女の手から拳銃を奪い取ると、セーフティーを外し、スライドを引いて、壁に向けて引き金を引く。同時に一発の銃声が響き、コンクリートの壁が少し欠けた。火薬の匂いが周囲に満ち、銃を奪われた女性は呆然とその光景を見ているしかなかった。
女はそのまま銃口を移動させ、彼女の額へと向ける。同時に女が手を挙げると、共にアサルトライフルを携えた何人もの黒服の男達が、二人しかいなかった路地裏へと入り込んで来る。
無数の銃口が、彼女に向けられた。
「……っ!」
「形勢逆転、とでも言うんでしょうか。どうです?協力して下さる気にはなりましたか?」
この状況に於いても、女はただただ冷たい表情を浮かべ
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