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フロンティアを駆け抜けて
謙虚な厳しさ、傲慢な優しさ
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とジェムを見る。

「……ッ!!」
「アルカさんは私のことが嫌いなのも、私のせいで傷ついたのもわかってる。でも私だってあなたのせいで変な薬を飲まされて身体が痺れたり蔦で締め上げられたり、花粉の毒で辛い目にあったのよ? あなただけ被害者っていうのはおかしいわ。私に初めてのファンだって嘘をついたこと、私達を傷つけたこと……責任、取ってもらうからね?」

 本気ではなくて、子供同士のじゃれ合いのような軽くはたいたような一発だった。そしてその後、ジェムは昔一緒にいた子供たちがお互いに向けていたような柔らかい笑みを浮かべる。ジェムに叩かれたこと、そして責任という言葉。その二つが、アルカの脳内をぐるぐる回る。

「わたしに……何をしろって言うんですか?」
「私はね、本当はこのフロンティアに挑戦するんじゃなくて、一人で旅がしたかったの。ホウエンを回って、ジムバッジを集めて。最後にリーグに挑戦する旅ね」
 
 唐突にジェムは自分の事を話し始める。いきなり話を変えられて、どう返せばいいかわからない。

「このフロンティアを攻略したらもう一度お父様に旅をさせてって頼むつもりだった。でも、今は違うの。私一人じゃ旅なんて無理だってわかったし……それに、私はあなたと旅がしてみたいなって思うの。ダイバ君やドラコさんも一緒にね。アルカさんは色んなところを見てきたんでしょう? 私はずっとおくりび山にいて世の中の事を知らないから、あなたがいてくれたらすごく頼りになるわ」
「……嫌ですよ。そんなの。あなた達と旅なんて」
「でもダメ。私にも悪いところはあったけどあなたの方から近づいてきて傷つけようとしたんだから……でないと、私はあなたを許せないわ。アルカさんが私の言い分を自己満足だって聞き入れてくれないなら、私もアルカさんが嫌がっても一緒に来てもらう」

 なんて無茶苦茶な言い分だろう、とアルカは思った。嫌われているのがわかっているのに、傷つけられたのに。その償いが一緒に旅をすることだなんて。

「……わたしの夢を見てたんですよね? これからも一緒にいれば、いつかわたしはあなたを食べてしまいますよ」
「させないわ。もしアルカさんが私を食べようとしても何度でも止めてみせる。それに私はあなたを可哀想だなんて思わない。あなたが恥ずかしいと思うこともさせない。私はアルカさんを傷つけたし、アルカさんも私を傷つけた。だから私達は……ファンでも喋らない人形でもなく、友達同士になれるはずよ。それに、今考えてみてもやっぱりアルカさんは誰かを傷つけるのが好きなわけじゃないと思ってるわ」
「……何故ですか?」
「前言ったこともそうだし、さっき戦った時だって、蔦を腕に巻き付けたなら相手の体力が減るごとに威力が下がる『絞り取る』じゃなくて『パワーウィ
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