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風魔の小次郎 風魔血風録
140部分:第十二話 聖剣の真実その十四

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第十二話 聖剣の真実その十四

「御前が最後の戦士か」
 劉鵬は思いきり苦笑いを浮かべていた。
「全く。大変なことになったな」
「ああ、全くだ」
 彼の言葉に兜丸が頷く。
「何でこんな馬鹿にこの戦いを託さなきゃならねえんだか」
「だがそれでもだ」
 霧風は小次郎に直接告げる。
「死ぬことは許さんぞ」
「貴様がいないと俺の悪ふざけの相手が減る」
 項羽は小次郎にこう言った。
「だからだ。生きて帰れ」
「小次郎君がいないと僕寂しいんだよね」
 麗羅は明るかった。
「だからさ。焼芋用意して待ってるから」
「まあ緊張はするな」
 林彪は微笑んでいる。
「御前に限ってそれはないだろうがな」
「いい加減俺と兄貴の違いはわかれ」
 小龍が言うのはこのことだった。
「御前の頭では無理だろうがな」
「何でこんな時にまで言われるんだよ、ったくよお」
「小次郎」
 ぼやく彼に最後に声をかけてきたのは竜魔であった。
「兄ちゃん・・・・・・」
「健闘を祈る」
 まずはこう彼に告げたのだった。
「そして生きて帰れ、絶対にな」
「あ、ああ」
「我等風魔の兄弟はここで御前の勝利を待っている」
「俺が勝つって思ってるんだな」
「無論」
 はっきりと答える竜魔であった。
「御前なら大丈夫だ。今の御前ならな」
「俺じゃなくて風林火山じゃねえのか?」
「いや」
 そうではない、竜魔はこのこともはっきりと小次郎に答えた。
「御前だからだ。風林火山はただの木刀だ」
「聖剣がただのねえ」
「重要なのは御前がどうかなのだ」
 毅然とした目で小次郎を見ての言葉だった。
「御前の心技体がな。どうかだ」
「そんなに変わってねえどころか全然変わってねえって言われたぜ、今」
「それはそう言っているだけだ」
 ここで口の端のみを少し緩ませる。
「御前はすぐ調子に乗るからな」
「ちぇっ、兄ちゃんまでよ」
「しかしだ」
 だがすぐにまた言う竜魔であった。
「御前はこの戦いで大きく成長した。それは事実だ」
「俺が。そんなに」
「その成長を出せば問題はない」
 これは今の小次郎を確かに見ての言葉であった。
「飛鳥武蔵との闘いもだ」
「そうか。じゃあ自信を持っていいんだな」
「調子に乗るのは駄目だがな」
 一応これは釘を刺すのであった。
「だが。今の御前ならばだ。何度も言うが」
「わかったぜ。じゃあ勝って来るぜ」
 にやりと笑って竜魔に応えた。
「今からな。じゃあな」
「うむ、待っているぞ」
「小次郎さん」
「小次郎」
 竜魔との話が終わったところで姫子と蘭子が彼に声をかけてきた。

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