巻ノ八十五 猿飛大介その八
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「危うい道に入らえる」
「そうなっていきますか」
「それが厄介じゃ、しかし」
「そのことから」
「拙者達がまた世に出ることになるやもしれぬ」
このことも読んで言うのだった。
「因果なものじゃな」
「そうですな」
「しかしじゃ」
「出られたならば」
「それが天命とも思ってな」
そうしてというのだ。
「拙者は戦う」
「そうされますか」
「十勇士達と共にな」
「それは何より、では」
「それではじゃな」
「それがしもう少しここにおります」
こう幸村に述べた。
「そしてです」
「忍の術を教えてくれるか」
「是非、それでは」
「頼む」
「全ては殿と佐助達の時まで」
まさにその時の為にというのだ。
「お授けします」
「それではな」
こうしてだ、幸村と十勇士達は大介に稽古をつけてもらい忍術をさらに極めていった。そして十一人全員がだ。
己の術を全て覚えたと見てだ、大介は幸村達に言った。
「では」
「これでか」
「それがしは伊予に戻ります」
彼の家にというのだ。
「そうします」
「左様か」
「はい、特に佐助には」
自身の孫に顔を向けて幸村に言った。
「それがしを越えるだけのものを」
「授けたか」
「そうしました」
「ではか」
猿飛もここで言った。
「わしは祖父殿以上の力を以て」
「殿をお助けするのじゃぞ」
「わかった、ではな」
「まだ足りぬと思えばじゃ」
「伊予でか」
「さらに稽古をつけてやる」
笑ってだ、孫に言うのだった。
「そう思えば来い」
「ではな」
「もっともっと強くなるのじゃ」
今の言葉には祖父、肉親の優しささえあった。
「そして御主もな」
「天下一のか」
「十勇士全員でじゃ」
彼だけでなくというのだ。
「天下一の忍になるのじゃ」
「そう言ってくれるか」
「佐助、より大きくなれ」
祖父としてこうも言った。
「わしよりも大きくなった、しかしな」
「それで慢心せずにか」
「そうじゃ、慢心はならぬ」
このことは釘を刺した、やはり肉親としてそうした。
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