暁 〜小説投稿サイト〜
オズのアン王女
第十幕その十一

[8]前話 [2]次話
「後は大佐だけだけれど」
「僕まで見付けるなんてね」
 アンの足元からトトが言ってきました。
「お花の下の方に隠れていたのに」
「草木の中にね」
「それで見付けるなんてね」
「いえ、わかったわ」
「すぐに?」
「貴方の毛の色でね」 
 アンのそれでというのです。
「わかったわ」
「そこも考えて物陰に隠れたけれど」
「私にはわかったわ」
「どうしてなのかな」
「だってここは私の国で」
 それでというのです。
「生まれてからずっと国の隅から隅までね」
「見て回ってるからかな」
「そう、毎日ね」
 そうして国の状況をチェックしているのです、アンは毎日絶対に一度はそうして国の状況を把握していてそのうえで政治を行っているのです。
「だからね」
「それでなんだね」
「そうよ、わかるわよ」
「他の皆もですね」 
 ジョージは今その場にいる皆も見て言いました。
「アン王女に見付かってしまいましたが」
「ええ、ただね」
「大佐だけは」
「いないわね」
「このお庭におられる筈ですが」
「どうしてかしら」
 首を傾げさせてまた言ったアンでした。
「見付けられないのかしら」
「まさか忍者みたいに」
 ここで大尉はこんなことを言い出しました。
「隠れているとか」
「日本のーーですね」
 チクタクは忍者と聞いて両手を忍者の結ぶ印にしました。
「そちらーーですーーね」
「日本の忍者は有名ですからね」
 カルロスも実は忍者には憧れています。
「強くて素早くて格好よくて」
「手裏剣を投げて分身の術を使って」
 神宝は忍者の術のお話をしました。
「何といっても隠れることが上手です」
「日本といえば武士か忍者ですよね」
 ナターシャも日本に来るまではこう考えていました。
「その忍者ですね」
「まさか大佐は忍者でもあるので」
 日本人の恵梨香もこう考えるのでした。
「隠れるのが上手でしょうか」
「そうかも知れないわね」
 ドロシーも大佐が忍者である可能性を考えました。
「それじゃあ相当隠れるのが上手かしら」
「そうね、少なくとも私がまだ見付けていないから」
 だからと言ったアンでした。
「隠れることは相当に上手ね」
「じゃあそれが何処か」
「少し考えてみるわね」
 自分と同じく鬼役のドロシーに言います。
 そして少し考えてです、ドロシーに言いました。
「これまで物陰や足元を見てきたわね」
「隠れる場所としてね」
「薔薇の草花を使った壁の向こうとか」
「そうしたところをね」
「けれどね」
「けれど?」
「上はどうかしら」
 アンは利発そうに笑ってドロシーに尋ねました。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ