第4章:日常と非日常
第99話「ふざけないで」
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くように抱き着かれた。ふと見れば、尻尾を千切れんばかりに振っている。
「あっ、しまっ...!」
抱き着かれ、倒れ込む拍子に張っておいた結界の術式に触れてしまう。
さらに、私自身も結界の壁にぶつかり、結界が割れてしまう。
「....えっと、優ちゃん?」
「こ、これって...。」
外で待っていた皆が私たちの様子に固まる。
...まぁ、当然だろう。
今の私は、顔を上気させた椿に抱き着かれている状態なのだから。
「つ、椿....?」
「.....!」
まるで甘えるかのように椿は私に体を擦りつけてくる。
「....何したの?」
「ちょ、ちょっと繋がりを強くする行為を...。...多分、その結果椿の色々な箍が外れてこんな暴走状態みたいに...。」
「なにしちゃってるのさ...。」
完全に顔が蕩けちゃっている時点で、何をしたのか皆大体察したのだろう。
例え間違った察し方でも、顔を赤くしている時点で、近しいものを想像したのだろう。
...葵だけはいつも通りの調子だから分からないけど。
「....?あれ...?」
「今度はどうしたのさ優ちゃん...。」
私の呟きに葵が呆れたような声で聞いてくる。
「いや...なんというか...女性でいる事に、違和感が...。」
「いや、普通は違和感があると思うよ?」
「...そういう事じゃないと思うよ。多分、これは...。」
私に突っ込んだ司にそう言いつつ、葵は私をじっと見つめてくる。
「...兆候、かな?これなら早いうちに元に戻れるかも。」
「....よかった。」
今日中とまではいかなくても、これで早めに元に戻る事がわかった。
繋がりを強くした事で、私に混じっていた椿の因子が戻っているのだろう。
早めに戻ると分かった事で、司と奏もホッとしている。
やっぱり、元の姿の方が馴染み深いからそっちの方がいいんだろうね。
「さて、そうと分かれば家に帰って戻るのを大人しく待つとするよ。...椿をこのまま放ってはおけないしね...。」
「そうなったのは優輝君が原因な気がするけど...うん、それじゃあここまでだね。」
そういって、私たちはそれぞれ家に帰っていった。
あ、椿は私が背負ったよ。何故か離れようとしてくれなかったから。
結局、椿は家に帰っても元に戻らなかった...いや、調べてみた限りだと、どうやら無意識に動いているだけなようで、つまりは気絶してるだけらしい。
葵曰く、私に対する気持ちだけで動いているかもしれないとの事。
...とりあえず、元に戻ってからが怖いなぁ。
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