第4章:日常と非日常
第99話「ふざけないで」
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抑え込む。
「緋雪だって、あいつのせいで死んでしまったようなものだ...。皆、あいつに洗脳されているんだ!だから、あいつに関わったら...!」
「....いいよ。もう、いいよ。」
未だに何か言おうとする神夜に、優奈はそう告げる。
「...いい加減にしなよ。」
「っ....!?」
神夜を見るその瞳は、明らかな“怒り”を抱いていた。
「洗脳?騙されてる?...優輝の事を知ろうともしないで、よく言うよ。」
「ぇ.....?」
それは、親しい相手を馬鹿にされた時のような怒り。
その怒りに、椿と葵は違和感を感じる。
「ご両親がいなくなって、緋雪まで死んでしまって...どれだけ優輝が苦労していると思っているの!?それなのに“ひどい奴”?ふざけないで!!」
「っ.....!?」
優奈の怒号が飛び、神夜は怯む。
なお、辛うじて葵が防音結界を張ったため、周囲には聞こえていない。
「必死に生きて、緋雪だけでも守ろうって思って...なのにまた家族を失って...優輝の本当の気持ちを知らない癖に!」
「うぐ.....。」
本気で怒っている優奈に、神夜は何も言い返せない。
「今は椿と葵がいるから、多少はマシだよ...。だけど、それでも頼れる親がいないのが、どれだけ苦しいか....!」
「あ、あいつの両親は別に死んでなんか....。」
「死体がないから、行方不明とでも?...関係ないよ。重要なのは、いるのか、いないのか。傍にいないのがどれだけ苦しいのか、分かっているの?」
椿や葵でさえ、演技とは思えない優奈の怒り。
その気迫に、神夜は完全に押されていた。
「ち、違う、あいつの両親は生きて...。」
「適当な事を言わないで!」
「うぐっ...。」
突き放すように神夜の体を優奈は押す。
「優輝の気持ちを理解しない...しようともしない。そんなあなたが、勝手な考えを私たちに押し付けないで!」
「お、俺は...ただ忠告を...。」
「良かれと思ってやっているっていうの?本当、ふざけないで!勘違いな上、ありがた迷惑なの!」
このままビンタでも繰り出すかのような気迫に、神夜は何も言えなくなる。
「っ.....。」
「...もういい!あなたとは何を話しても無駄みたい!」
そういって、優奈は椿たちの方へ振り返る。
「....行くよ。司は私が背負うから...。」
「...わかったわ。」
優奈の態度に茫然とする神夜を放置し、優奈たちはその場を去った。
「......ぁ...。」
「優輝、それ本当に演技なの?私たちですらそうは思えなかったのだけど...。」
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