旧
13話
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良い機会なんでしょう。今まで、引き延ばしてきましたけど、決着、付けます。その、こんな身体になったってのに、それでも受け入れてくれるって、行動で示してもらえて、嬉しかったですから」
抱きしめられているのを良いことに、顔を合わせては言いにくい言葉を伝える。普段は、絶対に口にしないような言葉に会長が慌てているのが分かる。
「それと、一つだけ頼みたいことが」
「お久しぶりです、木之本先生」
「えっ、元士郎なの?見た目はあまり変わっていないけど、随分と変わったのね。立ち話もなんだから中に入りなさい。そちらの方もご一緒にどうぞ」
リビングに通され、コーヒーが入れられる。そこでようやく話が始まる。
「本当に変わったわね、元士郎。ここを出て行く前とは別人のように丸く、逞しくなりましたね。それから隣の方を紹介してもらってもいいかしら?」
「ここ1年で良い出会いと経験がありまして。こちらオレの通っている学園の生徒会長の支取蒼那先輩で、あ〜、その〜、あれです」
「将来が確定している仲です」
「将来が、確定している?誓いあってるとかじゃなくて?」
木之本先生の疑問はごもっともだ。普通なら誓いあってるだろうが、オレは既に外堀から本丸まで完全に落とされている。前回監禁されたのが月曜日、今日は土曜日なのだがその間に完全に封じられたと言っても過言ではない。別に構わないんだけどな。その、ソーナと一緒になれるんなら嬉しいし。
「婿入りが確定しました。籍も、来年のオレの誕生日に入れることになりまして」
「何があったかは聞かないけど、お金の問題とかは大丈夫なの?まだ学生なのよ」
「それがそっちの方にも困らないようになりまして。卒業後の内定も貰ってまして、既に働いてる状態です」
「本当に変わっちゃったのね。それで、今日は彼女の紹介かしら?」
「それもあるんですが、本題は別にあります」
緊張で喉が渇く。言え、たった一言のことだ。それなのに、体が動かない。未だに、あの二人は、オレにとっては最悪の相手だ。悪魔を滅する聖剣よりも、はるかに最悪だ。まともに対峙できるかすら怪しい。その恐怖が、オレを硬直させる。そんな時、ソーナがそっとオレの手を握ってくれる。オレなんかを受け入れてくれた最愛の人。過去に決着を。未来への、ソーナと共に歩む未来のために。木之本先生に、オレの育ての親に、恩人にオレはもう大丈夫だと安心させるために。オレ自身が親離れをするための儀式なんだ。一度深呼吸をして体をほぐす。
「オレの生みの親共と決着を、絶縁を叩きつけに行きます」
「……そう。来るべき時が来たのね」
「はい。今までは、オレはずっと後ろを、守れなかった妹を見て歩んできました。今年の夏にソーナと
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