旧
13話
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度の時間と魔力があれば量産は可能となりました。誰にも、お姉さまにも話していませんが。ああ、匙も黙っておいてくださいね。むろん、令呪をもって命じます」
拘束された時と同じように、自分の中で何かのロックがかかったのが分かる。本当に令呪を量産したのか!?
「オレをどうする気ですか?」
「ずっと考えていました。匙、貴方も分かっているでしょうけど、貴方はどうしても自分の命を他人の命よりも軽く見てしまう。だから、貴方の命を重くします。心まで令呪で縛るのはしたくありませんから」
そう言って、会長がオレにキスをしてくる。それも舌まで入れてくる。突然のことで反応ができない。
「な、なにを」
「言ったでしょう、命を重くするって」
会長が服を脱ぎ捨てて宣言する。
「匙には私の純潔を奪ってもらいます。それがどういう意味か、匙なら分かりますよね」
その言葉に嫌な汗が流れる。
「だ、ダメです。今は、まだそれは」
「ダメです。このまま放っておいては、また匙を失ってしまうかもしれない。兵藤君たちよりも、私は匙を優先したい。だからこれは必要なことなんです」
会長が、オレの服も脱がしながら首筋や鎖骨、胸へと上から下へとキスでマーキングをしていく。
「お願いです、会長。やめてくれ。だめなんだ」
「匙?」
あと少しで下着まで剥がされそうになったところで、ようやくオレの異変に気付いてくれたようだ。
「どうしたのですか!?そんなに真っ青な顔をして!?」
慌てて手錠を外してくれ、流れている嫌な汗を乱暴に拭う。
「はっ、ははは、最後の隠し事って、奴です。幼少期の、トラウマがね。あのクソ共、よくやってて、ちょっとでも気を向けられると、色々やられて。それを思い出しそうになって、昔っからダメなんです」
「匙」
会長が申し訳なさそうにしている。まさかこんなことをされるなんて思ってもみなかったから、隠していた最後の秘密を知られ、こんな顔をさせてしまった。
「情けないですよね。これだけの力を持っているってのに、未だに幼少期のトラウマを引きずってるんですよ。すみません、会長が、オレのためを思ってくれてるのは分かるんですけど、それでも」
そこまで言った所で抱きしめられる。
「私の方こそ焦っていたようです。少し考えてみれば妹さんのこと以外にもトラウマがあってもおかしいことではなかったはずです。それなのにトラウマを抉るようなことをしてしまって。ごめんなさい」
違う。そうじゃない。あえて見ないふりをしていたのだ。オレは、誰かと一緒に歩むことはないと思っていたから。でも、今は違う。オレの周りには多くの人がいる。オレはもう、一人ではない。だから、過去に決着をつけよう。
「いえ、これも
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