旧
12話
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目を開ければ草臥れた男と人間らしくない女がオレを見ていた。敵意は無いが、何か困惑しているようだ。
「貴方が、アーサー王なの?」
アーサー王?なんのことだ?オレは、オレは、
「オレは誰だ?聖杯戦争?サーヴァント?」
頭の中に知らない情報が叩き込まれている。そして、目の前の男と魔力のパスが通っている。男?違う、オレは、女と、二人?
「くっ、なんだこの感覚は!?オレに何をした!!」
「なんだ、この黒い物は!?」
「落ち着いて、私達は貴方の敵じゃないわ!!」
「アイリ、令呪を使う!!」
令呪、3回しか使えない聖杯からのバックアップ機能だ。回数制限に体が反応して止めるように手を挙げる。
「落ち着いたの?」
「いや、まだ混乱している。だが、回数制限の札を切るような真似だけは止めろと言える位には落ち着いた」
記憶を思い返してみるとエピソード記憶だけがごっそりと抜け落ちている。魔力や自分の身体のこと、武器の扱い方はわかる。だが、自分の持つ武器の名前やこの黒いラインのこと、そしてこの短時間で何度もちらつく二人の黒い髪の女性のことが全く分からない。
そして、身体が変化している。完全に魔力だけで構成されている。属性や特性は引き継いでいるようだ。身体特化強化のプロモーションは行えない。相手の陣地内か王の許可が必要だ。王?マスターとは違うのか?いや、そもそもプロモーション?チェスの用語が何故?駒などではないし、駒も持っていないのに。
そして無理矢理押し付けられた知識の聖杯戦争。7人のマスターと7騎のサーヴァントによる殺し合い。勝者にはどんな願いも叶える願望機『聖杯』が与えられる。オレの記憶を取り戻す鍵は今のところこれだけか。
「大体の状況は飲み込めた。そっちの男がオレのマスターでいいんだな?」
「そうだ。最初の質問に戻るが、君がアーサー王なのか?」
「答えはNoだ。分かって聞いているはずだな。顔を見ればわかる」
「ああ、その服は、どうみても学生服にしか見えない。君は一体何者なんだい?」
「それはオレも知りたい。原因は分からないが、オレにはエピソード記憶のほとんどがない。オレはどこの誰なのかを知るために聖杯を求める。記憶を取り戻せば願いはまた変わるだろうがな。それより、何故オレがアーサー王かを問う?」
「召喚に関する知識は?」
「ああ、成る程。縁のある品を媒介にしたのか。エクスカリバーかカリバーンでも用意したのか?」
「鞘だ」
鞘、つまりはアーサー王を不老不死の化け物にしたあの鞘か。そして鞘という言葉にオレの身体の中が跳ねる。跳ねた物を体内から引きずり出す。全てが灰色に染まった両刃の剣。背後にあった鞘にそれを収める。だが、両方が反発し吹き飛んだのをラ
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