旧
9話
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材料費だけで済ませたおかげで今まで予算が保っていたのだから。オレがいなかったら8桁行ってるんだぜ。笑えねぇよ。
こうやって実際に見ると結構くるな。京都サーゼクスホテル。うん、自分の名前を堂々と付けれる魔王様のセンスには脱帽だ。部屋に荷物を置き、巡達と市内観光に出掛ける。そして10分ほどで観光を諦めた。あちこちで妖怪の気配を感じたのだが、動きが慌ただしい。何かが起きている。班から離れて少しだけ大掛かりな感知術式を発動させると地脈まで乱れている上に強力な力を感じ取った。いつでも動ける覚悟を持つように巡たちや兵藤たちやアザゼル先生たちに連絡を入れておく。結構楽しみだったんだけどな、京都旅行。小学生の時や中学生の時はそこまで心に余裕がなかったから。はぁ〜、とりあえずスコルとハティのお土産に櫛でも買っておくか。生徒会の皆には、う〜む、表通りに目ぼしい物が無いな。となると情報収集も兼ねて裏の表通りに潜るか。
境界線を探してそこに若干の魔力を通して裏側の、妖怪の世界に潜り込む。やはりこちらの方が物の品質が良いな。櫛も見繕い直して新しく購入し、魔法を込めれる髪飾りを見つけ、それを生徒会の全員に似合うデザインの物を購入する。その頃にはオレの気配を感じ取ったのか店の周りを包囲されていた。
「すまんな店主、迷惑料だ」
包んでもらった髪飾りを受け取り2倍の代金を支払ってから店の棚の影に潜り込む。そのまま退散しようと思ったのだが、影の世界に潜り込んでくる気配を一つ感じる。
「さすが妖怪だ。影を生業にする者が居るとはな。だが、オレを追うにはまだ甘い」
裏通りの影から飛び出してタイミングを計る。影からの気配が濃くなると同時に再び影に潜り込む。足だけが影の中に残っているのを見て好都合だと引きずり込んで鎖で拘束して目隠しをする。
「すまんな、こちらにはただ買い物に来ただけだ。危害を加えるつもりはなかったのだが、言っても聞いてくれ無いだろうし、オレも無許可で立ち入っているからな。すまないが仲間に拾ってもらってくれ。オレは向こう側に帰るんでな」
影の中から拘束した妖怪を突き飛ばして再び駆ける。境界線に警備が張り付いていたが、影の中を移動できる妖怪はいなかったようでそのままスルーして表側に逃げることに成功する。そのままホテルまで逃げ切り、部屋で髪飾りにフェニックスの再生の術式を込める作業に移る。家系の特殊魔術とはいえ存在する以上なんらかの法則があるのは自明の理。その解析に時間がかかったが劣化版の再生術式の構築に成功した。劣化版なのはオレの禁手に登録されている物だからだ。フェニックス家に協力してもらえればちゃんとした物もつくれそうだが、さすがに無理だろうと諦めている。精密作業にもなるのでとりあえずは巡と由良の分を用意する。どちらかと
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