旧
8話
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な」
「気にしないの」
「そうか。なら、こいつはオレからの気持ちってことで」
そう言って無理矢理握らせる。
「悪いわね」
「こちらこそ。さて、これ以上は怪しまれるんでな」
用は済んだので会計を済ませて留流子に合流する。その後は再び留流子の買い物に付き合うことになる。夕方ぐらいにようやく納得できる物が見つかり嬉しそうにしていた。
「はい、これ昨日の。隠し撮りだから写りが悪いのは勘弁してね留流子」
「ううん、こっちこそ無理言ってごめんね」
隠し撮りの写真のデータが入ったメモリースティックを受け取る。
「それにしてもあの彼、どっかの資産家のボンボンなの?」
「えっ?違うけど」
「そうなの?隠し撮りのことに気づいてたみたいだし、留流子が迷惑かけたってポンっと諭吉を渡したりしてきたんだけど」
「あ〜、その、先輩って色々と勘が良くって、それに裏で商売もやってるらしいんで」
「……やばい話?」
「ほら、年齢的に若すぎるでしょ。だから、代理を立てて書類もちょっとごにょごにょっとブラックに近いグレー?商売自体は小物とか玩具だから問題はないよ」
「頭に変な修飾語は付かないわよね?」
「普通だよ。小さな工房を複数買い上げて一つにまとめたって言ってたけど。拘ってるから生産数が少なくて規模拡張は考えずに職人たちが生活に困らなくて済む程度に利益を出していくって」
「あの若さでそこまで堅実に稼いでいるのね。甲斐性があって、女の買い物に文句も言わずに付き合って、あのルックスか。運動とか頭の方は?」
「運動は全部の部活のエースをまとめたような、勉強は上から数えた方が早くて、現国と古文に弱いって自分で言ってたっけ。あと、一人暮らしだから家事は万能」
「この世にそんな男が残ってたんだ。欠点は?」
「自分に向けられる好意が一定までしか分からないことかな」
「一定までって?」
「間接キスにあ〜んまでして私から好意を向けられてるってことは分かってても、それが親愛なのか友愛なのか恋愛なのかがわかってないの。それこそ小学生低学年並みかもしれない」
「それって致命的じゃない」
「これでも夏休み前に比べればかなりマシに成長してるんだよ。その、生まれた時から虐待受けてて敵意には鋭いけど、それ以外が鈍くなったらしくて」
「生まれた時からって、よく生きてたわね、彼」
「その、妹さんが亡くなってるの。守りきれなかったって」
「わお、さらにヘビーな話になったわね。その話からすると確かに成長というか、まっすぐ育ったって方に奇跡を感じるわ。あれ?でもそれだと小さな工房を複数買い上げたお金って何処から出てるわけ?」
「立て続けに宝
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