旧
5話
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レ自身を捧げられたのなら、少しは妹に顔向け出来るかもしれないから。オレは貴女の夢を手伝わせて」
口から零れるこれはオレの本音だ。だけど、違和感を感じる。これはなんだ?オレは何かを間違えている。気持ち悪い。なんだ、一体何を間違えている。
一瞬だけエクスカリバーとアロンダイトが聖なる力を解放する。その痛みに顔を歪め、睨みつけて、理解した。匙元士郎がどうやって人の輪に入っていると感じられる様になるのか。そして何を間違えていたのか。
そうだ、そもそも匙元士郎は妹の命を演じる為に生きて来た男だ。オレの本来の名は■■■■■。あの男と女によって産み出されたストレス発散用の道具だった本来のオレ。そんなオレの本音は誰かと繋がっていたいという生物としては普通の事。そして繋がる為の手段をオレは一つしか持っていない。
オレは痛みを与えられて、それを許した相手としか繋がる事が出来ない。そういう風に歪んでしまったのだ。猟師には間違って撃たれ、施設の奴らとは些細な事で喧嘩になって、セラフォルー様には平手を貰い、エクスカリバー達には身体を焼かれ、会長には、そう、角でぶつかって偶々会長が持っていた荷物が鳩尾にクリーンヒットしたんだっけ。
たったそれだけのことなんだ。オレの欠陥は。
そう理解しただけで身体が軽く感じる。そしてオレ自身の本音も分かった。
「オレは、匙元士郎は会長の夢を手伝いたいんです。そして■■■■■は、ただ貴女の傍に居たいんです。それがオレと、妹の命を使って来たオレの本音です」
「■■、それが本当の名前なのですね」
「あの男と女に与えられた物なんて全部捨てたつもりだったんですけどね。捨てれなかった様です。やっと向き合えた。会長のおかげです。会長は否定するかもしれないけど、今ここでオレがちゃんと過去に向き合えたのは会長があの町外れの廃墟で悪魔である事を知る前に、オレと出会って、痛みを与えてくれたから」
「痛み?」
「オレの日常は暴力に、痛みに染まっていた。与えられる痛みが誰かと繋がるための道具になった。それをオレは理解出来なかった。オレはちゃんと誰かと繋がってるし、新しく繋がる事も出来る。オレはもう、孤独に怯える事は無いんです」
「匙、貴方は乗り越えたのですか」
「いいえ、向かい合っただけです。乗り越えられるかはこの先次第。その為にも、貴女の傍に居させてください。我が『王』よ」
「何も出来ない情けない『王』の元で良いのですか?」
「今は何も出来なくとも、未来の事は分かりませんよ。それとも今のままで燻り続けるおつもりですか?」
オレの言葉に会長の目に力強い光が見えるようになる。
「……私は良い眷属に恵まれた様です」
会長は立ち上がりながらポケットから小瓶を取り出す。試合前に配
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