旧
5話
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、生きれたかもしれなかったのに」
「ちょっと落ち着いて!!」
「何故オレが生きている、何故あの男女が生きている、何故妹が死ななければならなかった、何故、何故、何故!!」
「ああもう、頭を冷やしなさい!!」
目が覚めるとあてがわれている部屋の天井が見える。
「匙、目が覚めましたか」
「……会長?」
「お姉様に氷付けにされたようです。何があったのかは言葉を濁すばかりで正確な事は分かっていません。何があったのですか?」
身体を起こすと会長の隣に正座をさせられているセラフォルー様が目に入る。その顔は何処かばつの悪そうな顔をしている。部屋には二人だけで時間はそれほど経過していないようだ。全部話すにはちょうど良いか。
服を脱ぎ、出来る限り隠してきた上半身を曝す。それを見て会長とセラフォルー様が息を飲むのが分かる。全身の至る所にある直径0.5cm程の小さな火傷の痕と小さな刺し傷。オレがあの男女に与えられたもの。それとは別にある銃で撃たれた痕。
「オレの世界はアパートの一室と、オレに常にストレスを酒瓶でぶつけてくる男と、オレを灰皿の様に扱う女だけでした。ただひたすら耐えるだけの日々、生きる為に残飯や腐りかけの物を漁り、部屋の隅に居るだけの存在。それがオレでした」
「まさか、そこまで」
「自分の子供なのに、そんなのって酷いよ」
「人間ではありふれた物ですよ。探せば同類は幾らでも見つかる。後に俺が入れられた施設に3人程居ましたから。話を戻します。ある日、女の方をしばらくの間見ることが無くなり、オレの世界に一人加わることになりました」
「それが妹さんですね」
会長の言葉に首を縦に振る。
「妹はオレにとって初めて現れた存在でした。オレより小さくて、弱くて、温かい存在でした。そんな妹にまで手を出そうとする男から反射的に庇い、初めて男と女に反抗する位に、妹はオレにとって大きな存在だったんです。だけど、その反抗が妹を殺してしまう原因になってしまった」
「「……」」
「反抗された事に怒った奴らは、それまで以上にオレに暴力を振るった。オレの命を脅かす程に。その後、いつ目覚めたのかは分かりませんが『黒い龍脈』が一番近くに居て抵抗出来ない妹の命を吸い上げてオレを生かした。日に日に弱っていく妹が死んだと理解した後の記憶は曖昧で、次にはっきりとした記憶があるのは何処かの森の中に居た事、野生の獣を『黒い龍脈』で命を繋ぎ止めていた事、そして猟師に獣と間違われて撃たれて保護され、施設に入れられた」
感情が高まっていくのを感じる。さっきみたいに暴走するわけにはいかない。もっと自分を憎め、恨め。感情を一気に高めろ!!これは懺悔なんかじゃない。オレは許されては駄目なんだ。
「生き残
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