暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 43
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対不可能・不可解な現象が起きたとしても、やること為すことすべてが生物の常識をはみ出してるアーレストの所業だと聞けば、なるほどそうかとすんなり受け入れられる。
 最早、異常じゃないアーレストなどアーレストではない。ただの神父だ。

 ……本来なら、それが普通なのだが。

 人の意思を無視して何してくれてんだ、こんちくしょう!
 と、悪態を吐くつもりで、アーレストを見上げ。

(……あ、れ ?)

 ふと、目に焼きついた星空。暗闇に灯る光。
 突然動かなくなった体。
 見下ろしてくる美しい聖職者。
 閉じていく思考に、這い上がる既視感。

( まさ か )

 海賊の依頼、遂行初日。
 神父の弱みを探るつもりだった教会で、夜中まで眠っていたのは。
 何故かシャムロックの暗示が解けていたのは。
 ミートリッテのうっかりでも感傷でもなんでもなく


 あ ん た が 犯 人 か ! !


「……えーと…… すみません?」

 壮絶な眠気と戦ってたせいか、思いがけない事実に行き当たったからか。
 おそらくミートリッテのアーレストを睨みつけている目が、悪魔も裸足で逃げ出しそうな険悪極まりないモノになっていたのだろう。

 なんだかよく分からないけど、一応謝っておく。

 そんな意図が見え隠れする神父の謝罪を耳奥に残し。
 ミートリッテの意識は……途絶えた。



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