Side Story
少女怪盗と仮面の神父 43
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います。と言うか、敵味方問わず被害国総てに資産を振り分けると決めた時点で予想されていた事ですし。当然、暴虐の被害に遭った際の対処方法も、後援国の間では「それなりに」議論済みなのですよ。そしてそれは、冷静な目と思考を持つ人間なら誰にでも読める展開であり、そうした本当に厄介な方々は、中途半端な覚悟では決して襲って来たりしないものです」
「……そっか……これ、村の女の人達と同じだ」
好きなものに群がる行為自体が、個々の防衛に繋がる。
アリア信仰側は、信仰を通して自国と各国の民を相互に護っているのだ。
アリア信仰の聖職者であるアーレストや、彼と同じ名前のメルキオーレ侯爵領を襲撃すれば、信仰の後ろ楯達が防衛と称した報復に動く。
つまり、アリア信仰の威光が「メルキオーレ」を庇護している。
そして
「リアメルティ伯爵が高位聖職者に就けば、反アリア信仰派は迂闊にリアメルティ領を侵せない……!」
(アリア信仰は基本、争いが大嫌い。アルスエルナ王国としても、体面上余程の事がない限り、聖職者と同じ名前の領主に先陣を切って戦えとは言い難い。だから「聖職に招かれた私が」ハウィスの役に立てるんだ!)
「まあ、同門の他国が襲われたら、こっちも動かなきゃならんがな。見せしめ効果持続中か、今の所はどの国も被害軽微な口喧嘩程度で済んでる。一手先も読めない無謀な莫迦が幼稚な攻撃を仕掛けて来たり、各国が今回みたいな騒動を見過ごしたり、信仰が内部崩壊するような大事件でも起きなければ、当分の間は現状維持だろうよ」
集合体故の副作用は避けられないが……ミートリッテがリアメルティの名を持つアリア信仰の関係者である限り、リアメルティ領は護られる。
離れた場所に居ても、恩人達を、ハウィスを、護れる。
「ハウィス……」
隠し切れない戸惑いや寂しさと、ほんの少し湧き上がった喜びを胸に、ハウィスへと顔を向け
「……!?」
何故か物凄く驚いている様子の真ん丸な目と、視線がぶつかった。
「ど、どうしたの?」
「……っ ……!?」
「……ああ。ハウィスさん達も知らなかったんですよね、アルスエルナの爵位制度」
「はい!?」
唇だけをぱくぱく動かすハウィスの代わりに、けろっと答えるアーレスト。
「知らなかったって……王族の後ろ楯を持って七年も騎士を務めてた貴族が!? 当代領主なのに!? 継承前に教えてなかったの!?」
「なにせ、爵位も領地も鳥を介して短い文書で遣り取りしていましたし。殿下以外の貴族方とは、貴女が眠っているか、働いているか、村を離れている隙に行っていた剣術訓練前後にしか話す機会がありませんでしたから。これまでの彼女には、貴族階級の知識などそれほど必要ではなかったのですよ。「伯爵」と「領主」を同一の物と考えてしまっても無理はな
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