Side Story
少女怪盗と仮面の神父 43
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領地は、国王陛下がお認めになられた貴族同士の引き継ぎであれば良く、必ずしも世襲とは限らない」
「……えー……と?」
「つまり、「リアメルティ伯爵」と「リアメルティ領主」は別物。ハウィスさんは「ネアウィック村を訪れる騎士や騎士候補生達の剣術指南役を長年務めた功績で」七日前……もう八日前ですね。に、陛下より賜った「リアメルティ伯爵」と、「長年国外で働いている偵察部隊の隊長への褒賞として」同じく八日前に殿下から継承した「リアメルティ領主」の称号を、二つ同時に所持しているのです。貴女は「リアメルティ伯爵」の後継者ではありますが、「リアメルティ領主」の後継者ではない、という事になります。ちなみに、二つの称号が別々の人物に継がれた場合でも、両主共「リアメルティ伯爵」と呼称されますよ」
「なんてややこしいッ!!」
(てか、八日前って! 私を暗殺者向けの餌に仕立てる為に、ハウィスを出世させたの!? そりゃ、アルフィンも知らない筈だわ!)
今回の騒動を片付ける為にこっそり交代したばかりの新領主など、ネアウィック村の住民はおろか、リアメルティ領民の殆どが知らないだろう。なんという横暴な遣り方をするのか!
「だからこそ役に立つんだよ。例えばアーレストの実父は「メルキオーレ侯爵領領主」だが家名はクレンペールで、「メルキオーレ侯爵」を授爵したのはアーレスト個人。んで、アリア信仰の性質上、アーレストは聖職者になった時点で「ブラン(戦わない者)」と聖名を授けられて領地と領地の経営権所持を禁じられたが、アーレストの実家は変わらずアルスエルナ王国の領土を守る戦力の一端だ。この意味が解るか?」
「実家と爵位を持つ個人に、繋がりが認められてない」
「真逆だ、阿呆。アルスエルナ王国の領土と同じ名前を持つ者が、国内に血縁と戦力を残しつつ世界で最大級の後援を得ているアリア信仰に地位を与えられたんだぞ? この聖職者の実家は此処です、と宣伝してるようなもんだろうが。十九年前の事件を踏まえて考えてみろよ。もしも今、反アリア信仰派がメルキオーレ侯爵領若しくはアーレスト個人を襲ったとしたら、アリア信仰側はどう動く?」
「どう……って………… あ。」
十九年前、アリア信仰の有力者と繋がりある女性を殺害したバーデルは、全世界から見せしめの意味も込めて袋叩きにされた。
時は流れ、世界情勢に多少の変化があったとしても……いや、足元を見られ始めている今だからこそ、アリア信仰側にはより強い結束力が求められる。
だとしたら。
「「襲撃者を、完膚なきまでに叩きのめす」」
「はい、正解です」
重なり合った男性と子供の声に、聖職者がにーっこりと目を細めて笑う。
「アリア信仰側も愚か者ばかりではありませんから。復興の遅れが周りにどう見られるかくらい、言われずとも自覚して
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