Side Story
少女怪盗と仮面の神父 43
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おそらくはアルフィンとの触れ合いを通して回復した数年後。
縁もゆかりもない子供を拾い育てる代わり、恐怖すら抱いている大嫌いな剣を受け入れた。
その並々ならぬ決意を面白いと評価する王子はどうかと思うが……
確かに、己を取り巻く環境を直視しようともせず、己が背負うべき責任や思考を他者に押しつけ、日々の不満を垂れ流すばかりで、改善行動を一つも取ろうとしない木偶の坊では、到底真似できない選択だ。
今のミートリッテにハウィスと同じ生き方ができるのか、と問われれば、当然、彼女の覚悟には遠く及ばない。
自分を護ろうとしてくれていたハウィスに対してさえ、本気で恐ろしいと感じてしまったのだから。
(私は結局、ブルーローズの過ちを辿り、ハウィス達とは違う、口先だけのクソつまらないロクデナシになってしまった。なのに……)
『無理に喋るな』
七年前のあの夜、噎せた自分の頬を撫でてくれた大きな手は。
今もミートリッテの首を飛ばしたりはせず、頭をぶっ叩いた。
ロクデナシの子供にも、まだやれることがあるのだと、叱ってくれた。
『恭順か、独立か、断罪か。今日この時より、お前の未来はハウィスの手に預けられた。ハウィスの未来も、お前の心得次第だ』
『……わたし……しだ、い?』
『そうだ。お前の行く道に幸多くあれ。我が後継者の娘、ミートリッテ』
(恭順は、国家への忠誠。騎士にも領主にもなれない以上、その道はない。処刑や口封じもない。残された道は、独立だけど……)
戦闘行為は一切拒絶! な、アリア信仰の大司教と、国防の最前線に立つ辺境領主の両立はありえない。
次の次期大司教が独立として確定事項なら、辺境領主の後継者への就任は立ち消えになった筈だ。
なのに、どうしてミートリッテをハウィスの正統な後継者と言えるのか。
とりあえず素直に頷いて続きを促すと、アーレストも軽く頷き返した。
「貴女はエルーラン殿下がハウィスさんを騎士に叙任されたことを、貴女の存在を隠匿する代償だとお考えでしょうが、それは厳密に言うと誤りです。真実、貴女を引き取る為に必要な準備だったのですよ」
「え?」
「ブルーローズの構成員は全員、エルーラン殿下の助力でネアウィック村へ移住するまで、身分証明を所持していなかったのです」
「………… えっ??」
「身許が不確かな人間に、命をゆだねるわけにはいきません。下手をすれば国際犯罪の温床になりますからね」
だからアルスエルナの法律は、身分証明を持たない者には後見人になれる権利を与えない。
また、後見を得た浮浪児に支給される特別身分証明だけ
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