Side Story
少女怪盗と仮面の神父 43
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
思うが……確かに、自らを取り巻く環境を直視しようともせず、自らが背負うべき責任や思考を他者に押し付け、日々の不満を垂れ流すばかりで改善行動を一つもしない木偶の坊では、到底真似できない選択だ。
今のミートリッテにハウィスと同じ生き方ができるのかと問われれば、当然、彼女の覚悟には遠く及ばない。自分を護ろうとしてくれていたハウィスに対してさえ、本気で恐ろしいと感じてしまったのだから。
(私は結局、ブルーローズの過ちを辿り、ハウィス達とは違う、口先だけのクソつまらないロクデナシになってしまった。なのに……)
『あ、……っふ……けほ! はぅっ、かふッ』
『無理に喋るな』
昔、頬を撫でてくれた大きな手は、今もミートリッテの首を飛ばしたりはせず、頭をぶっ叩いた。ロクデナシのミートリッテにもまだやれる事があるのだと、叱ってくれた。
『さぁ、目を閉じろ。恭順か、独立か、断罪か。今日この時より、お前の未来はハウィスの手に預けられた。ハウィスの未来も、お前の心得次第だ』
『……わたし……しだ、い?』
『そうだ。お前の行く道に幸多くあれ。我が後継者の娘、ミートリッテ』
(……恭順は国家への忠誠。騎士にも領主にもなれない以上、恭順の道は無い。処刑や口封じも無い。残された道は独立だけど……)
戦闘行為は一切拒絶! な、アリア信仰の大司教と、国防の最前線に立つ辺境領主の両立はありえない。「次の次期大司教」が独立として確定事項なら、「伯爵の後継者」への就任は立ち消えになった筈だ。
なのに、どうしてまだミートリッテをハウィスの正統な後継者と言えるのか。
とりあえず素直に頷いて続きを促すと、アーレストも軽く頷き返した。
「貴女はハウィスさんの騎士就任を「密入国者の存在を隠匿する代償」だとお考えでしょうが、厳密に言うとそれは誤りです。真実、貴女を引き取る為に必要な準備だったのですよ」
「え?」
「ブルーローズの構成員は、エルーラン殿下の助力でネアウィック村へ移住するまで、誰一人、身分証明を所持していなかったのです」
「…… えっ!?」
「身許が不確かな人間に、誰かの命を委ねる訳にはいきません。下手をすれば国際犯罪の温床になりますからね。だからアルスエルナの法律は、身分証明を持たない人間には「後見人になれる権利」を与えない。後見人を得た浮浪児に支給される特別身分証明だけを所持していても、永続的な生活能力が疑問視されて、やはり後見人になれる権利の取得は認められません。ハウィスさんが貴女の後見人となる為にはまず、彼女自身の力で揺るぎない足場を構築する必要があった。そして、手っ取り早く周囲を納得させられる身分を確立する為には、彼女にも強力な後ろ楯が必要でした。……お察しいただけますか?」
「……ハウィス達は、盗賊行為がバレた所為
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ