伝言
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プリーズ!」
ボス撃破を示す文字とポイントが加算され、ラストアタックを得たであろう虎頭のプレイヤーが、周囲のプレイヤーに示すように叫び続ける。ライブを終えたユナが手を振ってきたかと思えば、マスコットに乗って地上へと降り立ってきた――俺の前に。
「……え?」
『今回、一番頑張ったのはあなた! 二体も倒したんだから当然でしょ?』
「え〜……」
虎頭のプレイヤーの落胆の声がこちらにも伝わってくるが、混乱しているのは俺も同様だった。そんなこちらの動揺など知ったことではないかのように、ユナの顔が近づいてきて――
「あ……」
――ユナのデコピンが、俺の額に炸裂した。もちろんARなので感覚はないが、こちらの呆けた顔を見てユナは面白そうに笑っていた。
『ざぁ〜んねん! キスされるかと思った?』
「……別に」
『フフフ。ま、た、ね』
そんな嘘など見抜いているとばかりの笑みを浮かべ、そう言いながらユナは目の前から消えていく。気づけば隣に立っていた虎頭のプレイヤーに、同情するかのように肩をポンと叩いてきた。それと同時に、リズからの肘打ちが脇腹にも。
「いや〜、今日もポイントを稼がせて貰ったわね! グウェンのおかげで連携プレーも出来たし」
「ふ、ふん。ま、まあこれくらいわね」
「……っと、そろそろ時間ね」
乗ってきた自転車を手で押しながら、ひとまず二人を《オーグマー》の道案内に従って駅まで送ると、ひとまず三人で談笑をしていると。どうやらリズが乗るバスが来たらしく、よりかかっていた壁から立ち上がった。
「それじゃ、今日は楽しかったわ。ショウキはまた明日ね!」
「ああ、また明日」
そう言ってリズは元気よく手を振って、バスが来る駅のターミナルへと向かっていく。ボス戦の途中で腰が抜けた時は、まったくどうしたかと思ったが。
「……いいの?」
隣に立ったグウェンから、突如としてそんな問いかけが放たれた。どうやら彼女もまた待っていた電車が来たらしく、駅の中に向かって歩いていく。
「あいつ、倒れてからずっと、あんたから逃げてたけど?」
駅の中に消えていくグウェンが、振り向きながら最後に言い残していた。それとともに、ポケットの中にしまい込んだ携帯には、レインからの返信が返ってくることはなく――
「勝手な真似をして貰っては困ります、枳殻さん……いや、レインさん」
まだどことなく少年のような表情を残した青年が、少女のようなデコレーションをしたスマホをしばし操作した後、車を走らせながらそう呟く。その視線の先には後部座席を映すバックミラーがあり、鏡には――レインが横たわっていた。
『たっだいま〜! 今日も頑張ってきたよ、エイジ!』
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