伝言
[7/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
避けて!」
「え?」
リズの警告が俺たちに届く。あちらには瀕死のナト大佐がいたはず――と見てみれば、その瀕死のナト大佐が発狂じみた叫びをあげながら暴走していた。リズを守っていた大盾持ちプレイヤーの一人が、ナト大佐のシミターにまるで野球のボールのように弾き飛ばされ、その狂った走行の先には――
「ちょ……ちょっと! 何でこっち来てるのよ!?」
どうやら狙いはグウェンらしく、辺りに破壊を撒き散らしながらも、正確にこちらへ向かって来ていた。どこかに逃げようにも、俺たちのすぐ背後にはハンマーを振り回し続けているバラン将軍がおり、タイミング悪く発狂したボスに囲まれてしまったらしい。
「もう! ちょっとあんた、何かないの?」
「……ナイスな展開じゃないか。古典的な手だが」
背後からハンマーを振るう風切り音が近づいて来ており、前からはシミターであらゆるものを破壊する死神が迫ってくる。より鋭敏に気配を探るべく口癖で自らを高揚させると、じっくりとナト大佐の動きを見る。あと何秒、何歩で俺たちを確殺出来る距離まで達するか。
シミターが破壊した大地の破片が足元に転がり、ハンマーが起こした風圧が髪を凪ぎ――
「今だ!」
――二つの攻撃が炸裂する直前に、俺とグウェンは全力で側面に避ける。使い古された手口だったが、その分効果は保証済みとでも言うべきか……突如として攻撃目標を失ったものの二体のボスの勢いは止まらず、ナト大佐のシミターはバラン将軍に、バラン将軍のハンマーはナト大佐に、それぞれ見事に炸裂した。
「……せやっ!」
さらに素早く突きの体勢に身体を立て直すと、大地を斬って二体のボストーラスへと駆け出した。それはかの《ヴォーパル・ストライク》のように一直線に放たれ、まずは瀕死のナト大佐をやすやすと貫きポリゴン片と化させ、勢いは止まることはなくバラン将軍をも襲う。
――ただそこで、バラン将軍の背後にあったビルを割りながら、新たなトーラス型モンスターが現れた。
「なっ……!?」
完全に予想から外れた新たな登場。黒々とした巨躯に六本のねじれ角、さらに王冠を乗せた新たなトーラスの名は、《アステリオス・ザ・トーラスキング》――その姿と名で俺は悟る。今までのバラン将軍とナト大佐など前座に過ぎず、あのアステリオス王こそが本日のボスなのだと。
「ちょっと……!」
バラン将軍の腹部に鋭い突きを炸裂させながら、遠くからグウェンの言葉が聞こえるな、と他人事のような思考が流れていた。アステリオス王のビルを割る登場により、辺りに瓦礫の山がバラまかれていき、瓦礫によって充満する煙が、風に吹かれる一瞬前だけその場を支配して視界を奪う。
「よし!」
しかし煙に惑わされることはなく、バラ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ