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SAO−銀ノ月−
伝言
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『ヴウゥウオオォォ――!』

 こちらの身体の芯から響き渡る雄叫びとともに、バラン将軍が片手に持ったハンマーで大地を叩く。その衝撃波はフィールドに広がっていくが、まずは様子見の姿勢が功を労し、空中に跳んで避けることに成功する。

「何よ……これっ!」

「グウェン!」

 ただし衝撃波がナト大佐の図体で隠れていた為に避け損ねたグウェンが、正座のし過ぎで身体が痺れてしまったかのように、身体を動かすことが出来ていなかった。あの大地に響き渡る衝撃波は、プレイヤーに麻痺を与える効果があるのだと直感するが、バラン将軍が邪魔してグウェンを助けに行くことは適わない。

「オラ! こっちだ牛ぃ!」

「ヘイヘイ牛さんビビってるぅー!」

 しかしグウェンにナト大佐のシミターが放たれるより早く、大盾を持ったプレイヤー数人が、盾を鳴らしながらナト大佐の前に立ちはだかった。ヘイトをタンクプレイヤーに向けるスキルであり、ナト大佐の凶刃はその大盾持ちプレイヤーに放たれた。

「っおも……!」

「どっ、せーい!」

 とはいえ数人の大盾はナト大佐も突破出来ずに弾かれ、その隙にリズがナト大佐の側面に回り込むと、誇張なく力任せにメイスを振り回した。狙い通りナト大佐は衝撃に耐えることは出来ずに、戦闘エリアギリギリの建物まで吹き飛ばされた。

「今だ!」

「撃て撃て!」

 さらに吹き飛ばされた先の建物が銃撃によって倒壊し、その一瞬前まで建物だった瓦礫によって、ナト大佐はただ蹂躙されていく。あちらはもういいだろうと、あちらの攻撃を避けるだけではなく、攻勢に回るべくバラン将軍の隙を伺っていると。

「ナイスなタンクじゃない!」

「おう……って――」

「させるか!」

 どうやら作戦を立てていたらしく、見知らぬプレイヤーと拳をぶつけ合うリズへ、ナト大佐と合流しようとバラン将軍が走り出す。しかしてそれがこちらの攻勢に回れる隙となり、バラン将軍の足首を斬り裂き転ばせると、標的がこちらに移ったことを示すように睨みつけられた。

「さっきは、よくもねぇ!」

 再びバラン将軍はハンマーを大地に叩きつけて衝撃波を起こすものの、その攻撃は既に見切られている。グウェンが小さくジャンプして衝撃波を避けながら、俺が斬り裂いていた傷口に対して、さらに深々と忍刀を突き刺した。そのまま裂きながら引き抜くことで、バラン将軍の足首に深々とした傷口を残す。

「グウェン!」

「っと!」

 ハンマーを全方位に力任せに振り回す攻撃に、たまらず俺もグウェンもバラン将軍から逃げ出すと、ひとまずは距離を取って攻撃の隙を伺った。無理やり攻められなくもないが、あのハンマーに当たれば一瞬で消し炭だ。

「ヤバっ……ショウキ! グウェン!
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