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SAO−銀ノ月−
伝言
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トが貰えていた。旧SAOボスモンスターというのは気になるが、ランキングの為のポイントが欲しいというのも確かだった。とはいえ参加が難しいのもまた確かだったが、そんなアスナの言葉とともに、キリトの身体がピクリと跳ねる。

「ね? キリトくん」


「ご愁傷様……」

 ALOからログアウトするとともに、そんな言葉が口から勝手に出て来ていた。そろそろキリトがバイクを走らせて、アスナを家まで迎えに行っていることだろう。ジャンケンで誰が行くか決めよう、とは言われたものの、そこはアスナに譲って――もとい、アスナ以外が座れる席ではないだろう。

『《オーグマー》へようこそ』

「ん……?」

 とはいえこちらも、リズへのプレゼントという目的のためには、ポイントを多く貰えるイベントに参戦しないわけにもいかず。そろそろ場所が公開される時間かと、《アミュスフィア》を外して枕元に置いてあった《オーグマー》を装着し、ボス戦について調べてみようと思えば――つい先程、携帯にメールが来ていることに気づく。

「……ちょっと出かけてくる!」

 そのメールを読み進めながら、リビングでテレビを見ているだろう母に言付けを残すと、ジャケットを羽織り家を飛び出していく。春になったといえども夜の風は冷たく、ジャケットを強く着直しながら自前の自転車を走らせた。キリトのように二輪車を持っていれば、という後悔を頭から追い出して、《オーグマー》の道案内に誘導されていく。

 メールの差出人は件のレイン。内容はいたく単純なもので、メールでは出来ない大切な話があるから、すぐに来て欲しいというもので――大切な話とやらは、旧SAOボスモンスターと、あのARアイドル《ユナ》のことだという。

「ここは……」

 ちょうどこちらでも違和感があると話していた内容であるということと、どこかメールの雰囲気から嫌な予感を感じて。自転車を息切らせて目的地に向かうと、そこには先日と同様に《オーディナル・スケール》のイベント用の交通封鎖が敷かれており、《オーグマー》を付けたプレイヤーたちの姿がそこそこ見て取れる。

「……レイン!」

 用意された駐輪スペースに自転車を停めると、プレイヤーの中にレインの姿がないか探し始める。その立場上、軽い変装はしているかもしれないが、それでもとにかく亜麻色の髪の毛の主を。

「……何やってるの、あんた」

「……グウェン?」

 背後から声をかけられて振り向けば、そこにいたのは髪をツインテールに結んだ小柄な少女で、名前は鶴咲芽衣美――『向こう』ではグウェンと名乗っていた。以前一悶着を起こした元オレンジギルドのSAO帰還者で、今はルクスを通した友人の友人と言った関係だった。もちろん《オーグマー》を装着しており、どうやら彼女もこの《オー
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