外伝
外伝『魔弾と聖剣〜竜具を介して心に問う』―前章
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これから起こるであろう――機械仕掛の魔弾――には、――一子相伝の聖剣――が必要不可欠。
聖剣。これを打った本人は「なまくらのいいところだ」と言っていたが、ヴィッサリオンにとっては紛れもない『業物』である。
それは、後の『神剣の刀鍛冶』の父であるバジル=エインズワースの、処女作の刀。
『折り返し鍛錬』と呼ばれる、古来より伝わる製造法。一魂入刀で作られるそれは、何日もかけて槌を撃ち込まれる。
よみがえるは鍛錬の立ち合い、カタナの生まれ出でる瞬間。その声を。
水減し。ミズベシ
小割。コワリ
選別。センベツ
積み重ね。ツミカサネ
鍛錬。タンレン
折り返し。オリカエシ――
心鉄成形。シンカネセイケイ
造り込み。ツクリコミ
素延べ。スノベ
鋒造り。キツサキヅクリ
火造り。ヒヅクリ
荒仕上げ。アラシアゲ
土置き。ツチオキ
赤め。アカメ
焼き入れ。ヤキイレ
鍛冶押し。カジオシ
下地研ぎ。シタジトギ――
備水砥。ビンスイド
改正砥。カイセイド
中名倉砥。チュウナグラド
細名倉砥。コマナグラド
内雲地砥。ウチグモリジド
仕上研ぎ。シアゲトギ――
砕き地艶。クダキジヅヤ
拭い。ヌグイ
刃取り。ハトリ
磨き。ミガキ
帽子なるめ。ボウシナルメ
――柄収め。ツカオサメ――
聞きなれぬ言葉の羅列は、ヤーファで祈祷に用いられる神への文言に似ていた。だが、それ以上のことはわからない。でも――
――バジル=エインズワース殿……貴方が打ったこの『カタナ』で、流星たちを導いて見せます――
「もう一つ、お尋ねしたいのですが……腰に据えられているもう一つの『聖剣』もやはりカタナなのですかな?」
「いえ、これは『訳あり』なものでして……ちょっとお見せできないんですよ」
布にくるまっている『得物』は、まるで講義するかのように、ふわりと風を立てた。巻いていた布が『風船』のように膨らみ、「やばい、気づかれた」とヴィッサリオンは思ったが、常に気流立ち込める海上であったため、やり過ごすことができた。
(この悪ガキめ。少しは我慢しろってんだ)
こつんと、その『得物』のつばに、軽いこづきをお見舞いする。お調子者の『得物』は、どこ吹く風といった感じだ。
それは、まだ見ぬ義娘への確かな愛情表現なのかもしれない※6
これより約半刻後、3公国の主たちは軍議を終え、黒船を迎え撃つこととなった。
◇◇◇◇◇
当代のオステローデ公主、『封妖』の戦姫は、一騎当千の武技を誇る『竜姫将』である。
戦姫が治める領土の中で、最も国力が脆弱とされるオステローデ。
北には『雪原の大地』と呼ばれるところか
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