美保鎮守府NOW-Side B- PART9
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い、頭を掻き毟る。その脳裏を過ったのは、元帥の言葉。
『奴(金城)は獣……いや、化け物の類よ』
「金城を敵に回したせいで私が負けるというのか?認めん……認めんぞ!」
『大佐』は拳銃を握り締め、元帥と三笠が軟禁されている部屋へと駆け出した。
大本営の中に設置されている、数ある会議室の一室。そこに元帥と三笠が閉じ込められていた。拘束などされているのかと思いきや、そこは海軍のトップ。抵抗の意思が無いと解ると、部屋の前の見張りだけで縛り上げられたりはしなかった。
「さて……儂等が捕まって約半日。早ければそろそろかの?」
「そうだね、あの子は手が早いからそろそろ……」
等と会話を交わしている所に、バン!と勢いよく扉を開けて『大佐』が飛び込んできた。余程焦って走ってきたのか、顔は真っ赤になりフゥフゥと肩で息をしている。
「ほっほ、噂をすれば影という奴じゃの」
「このクソジジィがぁ……こうなる事を読んでやがったな!?」
「はて、何の事じゃろうな?」
逆上する大佐に、惚けてみせる元帥。
「とぼけるな!金城の奴がブルネイ政府どころか国王にまで人脈を拡げていたのを知っていた筈だ!」
「なんじゃと?あ奴は何をやらかしとるんじゃ……」
元帥も寝耳に水である。そもそも、自分が失脚しかけているという情報を掴めば、金城提督は嫌々ながらも動くと半ば確信めいた物があったからこそ、元帥は大人しく捕まっていたのだ。何かしらの手は講じているとは思っていたが、まさかのブルネイ国王の登場である。
「ふざけるな……お前たち保守派がこの国に停滞をもたらし、戦線を膠着状態にしているんだろうがぁ!」
「甘いな、若造」
尚も逆上する大佐を睨み付け、三笠が鋭い言葉を放つ。
「そもそも、膠着している事自体が奇跡的状況なのだぞ?敵は万どころか億にさえ届くかも知れないと言われている数……彼我の戦力差は大東亜戦争以上だ。その中でどうにか戦線を膠着させ、和平の道を探っているのだ」
「…………」
「そんな事も解らず、築かれた平和の中で膠着に不満を感じ、無闇に兵を死地に送り出せだと?恥を知れ」
「うるさい……うるさいうるさいうるさーい!」
大佐の苛立ちが頂点を迎え、拳銃を抜いて元帥に向けたその瞬間。窓から飛び込んできた銃弾が大佐の頭に直撃。その弾丸の威力からか、爆散に近い形で弾け飛んだ。三笠は咄嗟に元帥を庇うように覆い被さったが、二射目が飛んでくる事は無く、明らかに大佐を狙った狙撃であった事を物語っていた。
「まさか、君か金城……?」
呆然とした三笠は誰に言うでもなく、自然とそう呟いていた。
横須賀大本営庁舎から1500m程離れた
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