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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十四話 口は災いの元
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そうだ、そうすることでイゼルローン方面の軍事力を要塞と駐留艦隊のみにする。それなら要塞攻略は可能だとヴァレンシュタインは見ている」
「あの……」
二人の視線が私に集中しました。ちょっと怖かったです、でも思い切って訊いてみました。
「フェザーンを攻めるのはどうなんでしょう、中立は無視するのですか?」
私の質問に二人の大佐は顔を見合わせちょっと苦笑しました。
「まあ、そのあたりは余り考えなくてもいいと思うね。同盟もそしておそらくは帝国もフェザーンを信用などしていない。フェザーンもそれは分かっているだろう。フェザーンの中立が守られているのはそのほうが都合が良いからだ。当然都合が悪くなれば破られる……」
そんなものなのでしょうか? 別段フェザーンの肩を持つわけではありません。私もフェザーンはどちらかといえば嫌いです、でも中立を破るということがどうにも引っかかるのです。そんな簡単に破って後々問題にならないのか、そう思ってしまいます。
「どう思う、ヤン。可能だと思うか?」
ワイドボーン大佐の言葉にヤン大佐はほんの少し考えてから答えました。
「問題は実行できるかだな。この作戦は秘匿が要求される。作戦の目的がフェザーンに知られればその時点で作戦は失敗に終わるだろう。それが可能かどうか……」
ヤン大佐の言葉にワイドボーン大佐が頷きました。私も同じ思いです、中立国を攻める等ということが事前に漏れたら大変なことになるでしょう。同盟内部だけではありません、宇宙全体が大騒ぎになります。
「イゼルローン要塞を落とすにはフェザーンの介入を排除する必要が有るとは私も思っていた。そのためにはフェザーンの注意を引かないように小規模の兵力で要塞を落とすことが出来ないかと考えていたんだが……、大兵力を用いるか……」
ヤン大佐が頭を?きながら呟きました。一本取られた、そんな感じです。
「お前なら出来るだろう、奴が言っていたぞ、ヤン大佐なら一個艦隊でイゼルローン要塞を落とすだろうとな」
「……過大評価だよ、まだ何も考えつかないんだ」
ヤン大佐が困惑したような表情を見せています。そんな大佐をワイドボーン大佐は面白そうに見ていました。
「だがこうも言っていた。ヤン大佐は落とした後のことを考えているのかとね」
「?」
「イゼルローン要塞を落とせば必ず帝国領への大規模出兵を声高に叫ぶ人間が現れる。その危険性を認識しているのか、一つ間違うと同盟は滅亡への道を歩み始めるだろうと……」
「なるほど、だから大兵力を使うか……。両回廊を押さえれば当然だが帝国は奪回作戦を起こす。同盟は帝国領への出兵よりも防衛に力を注がなくてはならない……。攻め込むよりも防衛戦のほうが分が有る、そういうことか……」
呻くような口調でした。ワイドボーン大佐は
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